「エクリプスクロスPHEV」乗ってわかった高実力 三菱自動車の4WD、電動化技術はどう結集したか

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駆動用バッテリーは13.8kWhでEV航続距離を57.3km(WLTCモード)とし、日常生活の大半でEV走行を可能としている(筆者撮影)

試乗は高速道路でも行った。アウトランダーPHEVよりも俊敏なキャラクターが走りにどんな影響を与えたのか知りたかったからだ。結論からしてまったく杞憂で、むしろツインモーター4WD方式+S-AWCの強みである高い直進安定性を再確認することができた。

電動駆動システムの介入は緻密だがとてもスムーズ

4輪の独立センサーや車体のセンサーなど、各部から得られるたくさんの情報を基に、車両が不安定になる兆候がみられた場合には、瞬間的な反応が望める電動駆動システムによって安定方向へと導く制御が介入する。その介入は緻密だがとてもスムースで、ドライバーは意識することができないほど自然だ。ここは三菱自動車が培ってきた4WD技術、そして電動化技術の賜物であろう。

2020年後半は、脱・内燃機関の風が自動車業界に吹き荒れた。ガソリンとディーゼルといった化石燃料のみを燃やして駆動力を得るクルマに対し、温室効果ガスの削減を名目に新車での販売規制を強化するというものだ。この課題は根が深く、1次エネルギー領域での脱・化石燃料化の促進や、自動車以外で内燃機関を必要とする別業界の実情、さらにはガソリン、軽油以外の石油製品の行方などとのすりあわせが不可欠だ。

他方の電動車だが、これも順風満帆とはいかないあたりはご存じのとおり。そもそも内燃機関に12~48V系列のマイルドハイブリッドシステムを組み込めば電動車となる事実が浸透していないだけでなく、肝心のフル電動化された電気自動車にしても、車両単体だけの普及を第一に掲げることの不均衡に多くの人々が気づき始めた。

この先は、内燃機関車と電動駆動車の融合点の模索が本格的に始まると筆者はみている。2020年12月25日、トヨタ自動車から近距離向けの超小型電気自動車「C+pod」が発売され、2021年中盤には日産自動車からは前/後輪ツインモーター4WD方式のスポーツモデル電気自動車「アリア」が発売される。

そしてマツダからは究極のガソリンエンジンを目指したSKYACTIV-Xが新世代6気筒エンジンにも展開され、新世代のディーゼルエンジンも導入予定だ。三菱自動車は「電動化の1つとして、この先もPHEVを前面に押し出します」(太田氏)という。

こうしたパワートレーンの多様化とともに、全固体電池(Solid-state battery)やインバーターなどの技術革新(例/新型MIRAIが搭載するSiCパワー半導体)によって、それぞれに特化し競争力の高い商品が誕生すると考えられる。

最後に、筆者が常日頃行っている温室効果ガス削減策の一例だが、それは公共交通機関の積極利用だ。その昔、「あなたは電車、ぼくはバス」といった内容の標語があり、それを思い出した次第。効果は微々たるものながら、何事も基本が大切なのかな、とも思う。

エクリプスクロスPHEVは2020年10月15日から予約注文を受け付け、同11月末時点で月販目標の2倍となる約2000台を受注した(筆者撮影)
西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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