「エクリプスクロスPHEV」乗ってわかった高実力 三菱自動車の4WD、電動化技術はどう結集したか

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PHEVモデルの車両本体価格は384万8900円~447万7000円(消費税込み)(筆者撮影)

今回の取材では、アウトランダーPHEV(G Premium Package/2019年モデル)との比較試乗も行った。同じ道を走り、同じような運転操作を行ってみると、確かにアクセルペダル操作に対する前後方向の応答遅れはエクリプスクロスPHEV(Pグレード)が圧倒的に少ない(ドライブモードは共にノーマル)。

こうした2車のキャラクター違い(アウトランダーはグランドツアラー的、エクリプスクロスはスポーツ寄り)は、例えばディーラーで試乗するわずかな時間でも体感できるはずだ。

ステアリング操作に対する左右方向の動きも大きく異なる。アウトランダーPHEVは加減速特性と同じくゆったりとしたクルマの動きが特徴で、乗り心地は徹底してしなやかな路線だ。

エクリプスクロスPHEVはより俊敏

対するエクリプスクロスPHEVはステアリング操作に遅れなくスッと動く。ステアリングの径はアウトランダーPHEVよりも小さく、乗り換えた直後はその俊敏な動きに正直戸惑いを覚えたほど。ただ、それに身体が慣れてしまうと徐々に小気味よさに変化して、つねに感じていたくなる。加えて視線の上下動が少ないから、よりクルマとの一体感が強まってくるのだ。

本革シート(ライトグレー)、助手席パワーシート、後席シートヒーター、ミツビシパワーサウンドシステムはメーカーオプション(筆者撮影)

三菱自動車ドライブトレイン開発部の林貴行氏はこう話す。

「私は、前後のトルク配分とブレーキAYCを担当しています。その領域でお話しすると、PHEVにおけるアウトランダーとエクリプスクロスの違いは、ボディやシャーシの活かし方にあります。エクリプスクロスは、走りを楽しんでいただくためガソリンモデル含めてボディ剛性を高めていますが、今回の新型ではPHEV/ガソリンモデル共にさらに高めました。

その一環として直進安定性向上を目的に車体前方には補強部材を追加。さらにドアやリアゲート開口部に構造用接着剤を使用して高剛性と乗り心地の向上を図っています。しかし、この高剛性ボディをもったエクリプスクロスに、アウトランダーと同じ制御を行うとボディやシャーシの反応がよすぎてスピンモード(不安定な状況)に陥ってしまいます。よって、高いボディ剛性のよさを活かしつつ、走りの楽しさと安定性の両面を高める方向で4WD性能のチューニングを行いました」

三菱のPHEVは前/後輪それぞれに駆動モーターをもつツインモーター4WD方式を採用し、これにより強い駆動力を発揮する。さらに、左/右輪は駆動力と制動力を制御する①「AYC」、タイヤの無駄な空転を抑える②「ASC」、タイヤのロックを防ぐ③「ABS」が連携する。この3つの機能は統合制御され「S-AWC」と呼ばれ、ツインモーター4WD方式との組み合わせにより高い走行性能を発揮する。

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