2021年「大変革期」が始まる鉄道ビジネスの挑戦 終電繰り上げや時間帯別運賃の検討、どう進む
2020年の鉄道業界は新型コロナウイルス感染拡大による利用者激減に揺れた1年だった。年末の帰省ラッシュも今年は影を潜め、感染拡大防止の観点から首都圏では多くの鉄道会社が大みそかの終夜運転を取りやめた。
年が開けた2021年の鉄道業界は、ダイヤ改正で大きな動きがある。春のダイヤ改正における首都圏や関西圏での終電時刻の繰り上げだ。これは、コロナ禍で在宅勤務への移行が進んだこと、また仕事の後に外で飲食せず帰宅する人が増えたことなど、鉄道利用者の行動様式の変化が一因になっている。
JR東日本の担当者によると、「新型コロナウイルス感染症の流行を契機として、深夜時間帯を中心に利用が減っている」という。山手線終電近くの時間帯の利用は、コロナ前と比べて4割減になっているという。
時代は「終電繰り上げ」へ
つい最近、2019年までは終電時刻をもっと遅くすることが検討されていた。深夜に時間を持て余す訪日外国人客向けにエンターテインメントを提供する「ナイトタイムエコノミー」の機運が2017年ごろから高まり、2019年には、2020年開催予定だった東京オリンピック期間中にJR山手線、東京メトロ、都営地下鉄の各線について深夜2時過ぎまで運行する検討が始まっていた。それが一転して、時代は終電繰り上げの方向に動き出した。
大手鉄道会社で終電繰り上げの先陣を切ったのはJR西日本だ。新型コロナを理由にしたものではなく、コロナ前の2019年10月に「近畿エリアで終電時刻の繰り上げを検討する」と発表した。
その動きに続き、2020年9月にJR東日本が「来春(2021年春)から首都圏を軸に終電時刻を30分程度繰り上げる」と発表すると、首都圏の大手私鉄各社が雪崩を打って終電繰り上げに動き出した。終電だけではなく、始発の繰り下げを行う鉄道会社も少なくない。
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