2021年「大変革期」が始まる鉄道ビジネスの挑戦

終電繰り上げや時間帯別運賃の検討、どう進む

もし実現すれば終電繰り上げ以上にインパクトが大きいのが、「変動運賃」の導入だ。混雑時間帯を避けて乗車する場合に運賃を割安にして、混雑を平準化するという仕組みだ。

首都圏のJR運賃表。JR東日本はラッシュ時を避けた利用を促進するため「変動運賃」の導入を検討している(編集部撮影)

口火を切るのはJR東日本。2021年春から、Suica(スイカ)定期券利用者が、例えば午前7時〜8時半といったピーク時間帯を避けて首都圏の路線を利用するとJREポイントが付与される。このポイントはスイカにチャージされ、電車に乗ったり買い物をしたりする際に利用できる。

1年間の期間限定だが、2022年以降の本格導入につながる可能性もある。その際、オフピーク時の値下げだけでは鉄道会社にとっては収入減となる。そこで、「通常の定期を現状よりも値上げし、プラスマイナスのバランスを取りたい」と深澤祐二社長は話す。

狙いは「繁閑の平準化」

JR西日本も変動運賃の導入には積極的だ。時間帯別運賃だけでなく、季節別運賃の導入も検討している。「繁忙期の運賃・料金をもっと上げて、閑散期の運賃・料金を引き下げれば、年間を通じた鉄道利用が平準化されて、ずっと動きやすくなるのではないか」と、長谷川一明社長は構想を語る。

現在でも指定席特急料金はゴールデンウィーク、夏休み、年末年始といった繁忙期には通常期より200円高く、2月、9月といった閑散期は通常期より200円安い。しかし、繁忙期と閑散期の差は400円にすぎず、利用者の分散はほとんど起きていない。そこで、特急料金だけでなく運賃も変動させ、繁閑の金額差を大きくして利用の平準化を促す狙いだ。

変動運賃の導入には別のメリットもある。鉄道会社はピーク時間帯に合わせて車両や要員をそろえている。つまり、ピーク時の利用者が減ると車両や要員の削減にもつながるのだ。JR東海の金子慎社長は20年9月の記者会見で変動運賃について「勉強していきたい」と話した。変動運賃の導入は、JR全体に広がりつつある。

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