スマホ断ちできない人はその危うさを知らない 依存症が重症化すると回復できても困難になる

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依存症という病が、気づいた時点ですでに重篤であるのは、こうした原因の見えにくさのせいであることがおわかりいただけるでしょうか。だからこそ、未病の段階からの予防は、どんなにしてもし過ぎることはないのです。

こうした依存症は、借金にたとえることもできます。

借金といっても、たとえば会社の経営を大きくするためや、家を買うためのローンなどさまざまな種類がありますが、ここでは「生活のための借金」と考えてください。

最初は(買い物でも旅行でも何でもいいのですが)生活をより楽しむために、もしくは生活費が足りないので借金するとします。将来収入が増えることが見込めるのであれば、このような借金は、ある程度の合理性があります。

しかし、将来もほとんど収入の変化がない場合には、借金はそのまま将来への負担になります。それでも借入額が小さいうちは、あまり問題なく返済できます。借金を重ねると、次第に返済が苦しくなり、今度は借金の返済のためにさらに借金をするようになります。このような状態を世間では「自転車操業」といいます。

家計が「自転車操業」状態になると、収入は「給料」と「借金」になり、支出は「生活に最低限必要な消費」と「借金の返済」のみになってしまいます。酒でいいかえると「連続飲酒」といって、アルコールを体内から切らさないように1日中飲酒している状態がこれに相当します。生活に最低限必要な食事や睡眠ぐらいはとるでしょうけど、それ以外のほとんどが飲酒ということもあります(食事や睡眠もまともにとらなくなることもあります)。

タバコでたとえれば1日中喫煙している状態

タバコでたとえると、チェーンスモークといってニコチンを体内から切らさないように1日中喫煙している状態に相当します。違法薬物でもこのような状態になりえますし、スマホの場合には、1日のほとんどをオンラインゲームやSNS、インターネット動画などに費やしている状態に相当します。

さて、零細な町工場が借金をして「自転車操業」になっても、フィクションの世界では、破産寸前で自社商品がバカ売れしたり、たまたま道端で助けたおじいさんが大金持ちで資金援助を受けたりして立ち直るのですが、現実の世界ではそうはうまくいかないことが多いようです。借金自体がふくれ上がることや、何かの不意な出費が原因となって、「自転車操業」もやがて回せなくなり、「返済困難」に陥ります。

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