Jリーガー「白血病」気づかず迎えたデビュー戦 開幕3戦スタメンも「異常な疲労感」に襲われる

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「……ごめん、今日、ご飯いらないや……」

「え、どうしたの? 体調でも悪いの?」

母の表情が曇った。心配性の母の表情だ。

風邪では、と楽観的に考えていた

「実は……ずっと喉の周りが痛くて、腫れ上がっていて、物を食べられないんだ」

「史哉、ちょっと喉を見せて」

いつもは一歩引いて僕を見守ってくれる父が、このときはすぐに歩み寄ってきた。

「えっ、めちゃくちゃ腫れているじゃないか! なぜここまで放っておいたんだ」

父は驚いた表情で僕に言った。

『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

「実は喉だけじゃなくて、両足の鼠蹊部も腫れているんだ」

その箇所に触れてもらうと、父の表情はますます険しくなっていった。

「ずっと喉と鼠蹊部が痛かったんだけど、変に薬とかを飲むとドーピングもあるし、試合やそれに向けての準備もあったから、病院にも行けなかったんだよ」

そう両親に告げると、

「こんなにひどくなるまで放っておいたらダメだよ。しっかり病院で診てもらおう」

そう言われ、僕も「そうするわ」と何気なく答えた。

このときはきつかったけど、まだ「ひどい風邪じゃないのか」という楽観的な思いもあった──。

早川 史哉 プロサッカー選手

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はやかわ ふみや / Fumiya Hayakawa

1994年1月12日、新潟市生まれ。アルビレックス新潟のアカデミー組織の出身。2011年のFIFA U-17ワールドカップで3得点を挙げる活躍をみせた。2012年に筑波大学に進学して蹴球部に入部。2016年シーズンにアルビレックス新潟へ加入。2016年2月27日のJ1開幕節・湘南戦に先発フル出場デビュー。しかし、同年4月24日の名古屋戦後にリンパ節の腫れを訴え、病院で検査を受けた結果、急性白血病と診断される。2017年から治療に専念するため選手契約をいったん凍結。同年7月に病院を退院すると復帰に向けたリハビリを開始。2018年11月12日に契約凍結が解除されて、2019年10月5日には、鹿児島戦にフル出場。1287日ぶりに公式戦のピッチでプレーした。

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