Jリーガー「白血病」気づかず迎えたデビュー戦 開幕3戦スタメンも「異常な疲労感」に襲われる
「絶対にこれはおかしい……。俺の体の中で、何かが起こっている。でも、今はプロデビューをしてレギュラーをつかんだばかりだし、絶対に手放したくない……」
僕はサッカー選手として、厳しいレギュラー争いと試合で相手と戦うだけではなく、自分自身に潜む得体の知れない相手との闘いも始めるようになった。
第3節のホーム開幕戦の横浜F・マリノス戦。
念願のデンカビッグスワンスタジアムのピッチに3試合連続スタメンで立つことができた。だが、この戦いを終えたあたりから、得体の知れない相手は、日に日に大きくなっていき、それに比例して練習でも周りの要求に応えられなくなっていった。
すぐに息が上がる。ダッシュをしたら足がパンパンにむくんでいた。練習後の疲労がまったく抜けない。ある日の練習後、少しでも疲労を取ろうとクラブハウスで長めに風呂に入った。だが、風呂から上がり、ロッカールームに引き上げる途中に、突然目の前が真っ暗になった。
「うっ……」
僕は必死で手探りで壁につかまり、転倒するのを避けた。だが、そこからしばらく動けなくなってしまった。冷や汗も止まらなかった。
プレーの質が著しく低下
「体に何かが起こっている……」
ついに、ピッチ上でもふらつき始め、目の前が一瞬暗くなることも出てきた。
「どうしたんだよ? 史哉」
異変に気づいた選手も出始め、心配そうな顔を見せるようになった。
「大丈夫、ちょっと疲れがたまっているみたいで」
だが、言葉では隠せても、プレーの質の低下は著しく、そこはごまかせない状況になっていった。
J1ファーストステージ第4節の柏レイソル戦。
ついにスタメンから外された。当然だ、このパフォーマンスでは。悔しい思いはもちろんあった。でも、どこかでスタメンを外れて、ホッとしている自分もいた。そこからしばらく、僕はベンチ入りこそするが、リーグ戦での出番は訪れなかった。
そして、感じていた異変はついに具体的に体の症状として出始めた。首の周辺の痛みがより激しくなり、触ってみると硬くなっている。
「何なんだ、これは……」
僕の体に明らかな異変が生まれ始めていた。
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