Jリーガー「白血病」気づかず迎えたデビュー戦 開幕3戦スタメンも「異常な疲労感」に襲われる

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「史哉、今度の遠征、メンバーに入ったぞ」

4月24日。J1ファーストステージ第8節のアウェー・名古屋グランパス戦。僕は遠征メンバーに入ったが、前泊したときの体の状態は、ひどくなっていた。

ビュッフェ形式の夕食だったが、みんなが旺盛な食欲を見せるなか、食欲自体まったくなかったし、正直、喉が痛すぎて、食事もままならない状態だった。

僕は、ご飯やおかずを少量だけ皿に盛りつけたが、それすらすべて食べることができなかった。ホテルの人が近づいてくると、「すみません、下げてください」と、まだおかずが残った皿をさりげなく手渡して平静を装っていた。

いつもは楽しみだった夕食の時間が、苦痛でしかなかった。食事の時間が終わると、僕は逃げるように部屋に戻り、ベッドに横たわった。

「まずい、明日は試合だ。何とかしないと……」

その日、僕は眠ることができなかった。

ぬぐえぬ違和感

「おはようございます」

翌日、朝食会場で吉田達磨監督の顔を見た瞬間だった。

「自分……今日の試合、プレーできるような状態ではありません」と、喉元まで出かかった。でも、ここでその言葉を実際に言ってしまったら、もう二度と起用されなくなるかもしれない。重要なプロ1年目、こんなことで、せっかくつかんだチャンスを失いたくない。僕は必死でその言葉を飲み込んだ。

当然、朝食もほとんど喉を通らない状態で迎えたグランパス戦。バスでスタジアムに着いたときから、僕の気持ちはどん底まで落ちていた。

「首が痛い……」

違和感だけだった首の横が、激しい痛みを出すようになっていた。触ってみても、腫れはひくどころか、よりひどさが増しているように感じた。さらに両足の付け根、鼠蹊部(そけいぶ)のリンパ節が膨れ上がっていた。

「何なんだよ、マジで!」

得体の知れない相手は、いよいよ僕を飲み込もうとしていた。抗(あらが)いたいが、抗う力は徐々に失われていた。

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