「高嶺の花」CAとの結婚をつかんだ男の大奮闘 「めっちゃいいパパ」になる以前の素顔は…

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「フライトがあるときは空港まで送り迎えに来てくれました。うちの両親に紹介したら、父がゴルフに招待したのですが、その後に『先日のお礼です』と高価なスモークサーモンを実家に届けてくれたのです。『この人、ちゃんとしているな』と感じました」

本連載に登場してくれる晩婚さんたちは恋愛能力が低めであることが少なくない。いい意味での「割れ鍋に綴じ蓋」的な発想で結婚に至っている。それに比べると、佐和子さんの目線の高さには驚くが、啓介さんは「高嶺の花」を追いかけるのが好きなのだろう。一般的ではなくても、需要と供給が一致すれば問題ない。

結婚後は、啓介さんの職場に近い場所にある分譲マンションを購入した。佐和子さんは「本当は都心がよかった」と明かすが、CAの仕事に復帰する際に啓介さんが家事や子育てをしやすくなる立地を選んだのだ。

住んでみたら、交通の便もいい文教都市だと気づいて満足している。

自分らしくいられる凸凹夫婦

「夫婦って凹凸でいいのですね。私は時間やモノを管理するのが得意ですが、短気です。(飛行機が)着陸までの時間を逆算して指示を出す習慣がついているので、やっておいてと言ったことのスタートが遅いとイライラしてしまいます。啓介さんは頑固で自分からは謝れない人ですが、とにかく思いやりがあって家族のことをすごく考えてくれる夫です」

さきほど筆者は佐和子さんを「上から目線」と評したが、「上司目線」と訂正したほうがいいのかもしれない。頭の回転が速く、段取りよく行動し、周囲も巻き込んでいける人なのだ。仕事や生活への向上心も強く、そのための努力は厭わない。ネガティブなことを考えている暇があったら動いて解決!である。

「もし前の彼と結婚して子どもができていたら、確実にワンオペ育児になり、職場復帰も望めなかったでしょう。啓介さんは私が自分らしくいられるパートナーです」

佐和子さんはもっと若い頃に結婚しなかったことを後悔はしていない。当時は「自分がやりたい」ことが多かったからだ。結婚して子どもができてからは、職場復帰はできるとはいえ、家族に大きな時間を割く生活に変わりはない。

「周りの人たちが子育てをする生活を見ていて『いいなあ』と思いが募りました。いま、うちにやって来てくれた子どもにも、一緒に頑張っていける夫にも感謝しています。幸せです」

夫婦は凸凹でいいと感じている佐和子さん。確かに、彼女と啓介さんの性格は似ていない。直球勝負な佐和子さんと皮肉屋の啓介さんは意見も一致しないのではないか。

しかし、人生へのエネルギー量のようなものは近いと感じた。手が届きそうな幸せの実現には貪欲なほど努力できるカップルなのだろう。性格が違っても目指すところが似たもの同士が、一緒になって幸福をつかめばいいのだ。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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