「思考が深い人」なら当然やってる思考の習慣 元コンサル教授×東大生「頭の良さ」対談:後編

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西岡:面白いなあ。自分たちとは違う体系がある、そこには違う論理もあるという認識は、すごく価値が高いですね。英語や他の国の言語を勉強するということは、他の国の文化を理解することにつながると思います。

例えば、アメリカでは虹の色が6色ですし、グリーンティーはありますが、日本茶とは違って砂糖が入っていて、日本人の一般的な感覚では甘くて飲めたものではありません。ところが、アメリカの空気や風土に慣れてくると、砂糖が入っているほうが美味しいなと感じるときもあるんじゃないかと思うんです。

そういうコンテクストを理解すると、見えてくるものも違ってくる。だから、どうしてこれは違うんだろう、ということが考えられるようになると、プラスになると思いますね。なぜなら、すべてのことには、そうなった理由があるはずだからです。でも、そこをないがしろにして、僕たちはなんとなく生きている気がするんですよ。

平井:それは受験にもつながりますね。公式はこれだけど、その背後にある理由を理解しようとする態度が必要ですし、それがグローバルな世界において、違いを理解することにつながります。根幹は同じですね。

「僕はお腹を空かせるべきなのか?」

西岡:英語の文法も、ただ丸暗記ではなく、外国人の考え方は違うんだということに気が付くと面白くなるのですが、なかなかそこまで達しませんね。暗記したほうが短期的には点数は上がりますし、それも必要ではありますが……。僕は特に、MUSTを「~しなければならない」と教えないでほしいんですよ。

外国人は「きみ、お腹空いてるでしょ?」という意味で ”You must be hungry.” と言ったりもします。でも、丸暗記だと、そう声をかけられたときに「えっ、なに? 僕はお腹を空かせるべきなのか?」というような変な会話が起こりうるんですよ(苦笑)。

平井 孝志(ひらい・たかし)筑波大学大学院ビジネスサイエンス系国際経営プロフェッショナル専攻教授。ベイン・アンド・カンパニー、デル、スターバックス コーヒー ジャパン、ローランド・ベルガーなどを経て現職(撮影:梅谷秀司)

平井:前後の文脈をまったく見ないと、そうなってしまいますね。それに、会話というものは、直接経験するということが大事ですよね。会話によるコミュニケーションは、情報量も多いし、意識的・無意識的にかかわらず、大事なことがニュアンスで強調されたり、メリハリがついていたりします。

相手が話している様子を見ていると、そこで直接語られていること以外の、背景や意図なども伝わってくるんですよね。そして、会話によって「そうそう」というインタラクションが起きると、そこからまた新たな発展がある。西岡さんが『東大思考』で「日常の解像度」と書かれているように、日常の体験から掴めるものが、会話の中にはたくさんありますからね。

西岡:そうですね。きょう先生とお話しさせていただいた中でも、僕にとって思考を深めるためのヒントがたくさん出てきました。

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