西岡:先生は、大学で物理を専攻されていて、なぜコンサルの世界に入られたのでしょう。なにか体験がおありなのですか?
平井:私は物理信奉者だったので、世の中の真理を探究すれば世の中が良くなる、だから私は真理を探究するのだと考える大学院生でした。でも当時、NHK大河ドラマでやっていた『独眼竜政宗』を見ながら思ったんです。
あの時代の人々は、みんな幸せになりたいし、平和でいたいのに、みんなが戦争しているんですよ。なんでこうなっているのだろうと。それでよくよく考えてみて、時代のタイムラグというものが存在するんだなと気が付いたんです。
アインシュタインが相対性理論を作ったとき、日本はまだ人力車が走っている時代でした。科学の発展というものは、100年ほどかからないと実用化されないわけです。そう考えると、科学技術をやることの価値はあるかもしれないけれど、それが実用される頃、すでに自分が死んでいたら、果たして楽しいのだろうかと。
そこから、大手の研究所に就職するのではなく、コンサルや他のビジネスの世界に進んでもいいのではと考えはじめました。本当に小さなきっかけですが、自分なりに「なぜ?」と疑問に感じたことを大事にする。そこから行動を起こすと、新しい発想へと移っていけるのではないかなと思いますね。
「なぜ」をくり返して思考を深めよう
西岡:お話を伺って、やはり、ありふれた日常の中から疑問を持って、本質を探すということは重要なんだと改めて思いました。
平井:「なぜ」を問うということは、ビジネスでも同じなんですよ。最近、私の受け持った研修の参加者から、私の「イージーアンサー(浅い考えの答え)を許さない態度」がいちばん良かったというフィードバックをもらって、よく理解してくれているなと嬉しくなりました。私は、常に「それはなぜ?」をくり返して聞くんです。
西岡:なるほど。なんでもくり返し掘り下げないといけないんですよね。でも、僕も経験があるからわかりますが、たいてい途中でやめてしまうものなんです。粘り強く、常に考えるということが重要なんだろうとも思います。
哲学は「万学の女王」と言われますが、「なぜ」を問いつづけることがいちばん根本的なところですね。教科書も「なぜ」という切り口で読んでみると、見え方が変わるかもしれません。
教科書を読むときに、みんな公式そのものは丸暗記しても、その公式の証明は読み飛ばしてしまいます。でも、大切なのは証明なんです。
数学なら公式証明、世界史ならそれがどういう時代なのかという説明など根本の部分が重要なのです。ただ暗記するだけでは、教科書の価値を3分の1も使えていないのではと僕は思っています。
そういう意味でも、『武器としての図で考える習慣』は、ぜひ受験生こそ読んで、思考を鍛えてほしいと思っています。
平井:ありがとうございます。就活生にも役立つ考え方だと思います。特に、小手先でやっても面接は通るんじゃないかと思っている人には読んでいただきたいですね。
(構成:泉美木蘭)
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