築地本願寺、「30万円合同墓」に予約殺到の理由

「子どもに迷惑をかけたくない」中高年に大人気

そこで私は「お寺もコーポレーション」という信念のもと、マーケティングをしっかりと取り入れました。合同墓についてのマーケティング調査はインターネットを使い、設問に答えてもらうかたちをとりました。

「有名なお寺が都心の好立地にお墓を建てるとして、あなたが入るなら普通の納骨堂、合同墓の納骨堂、どちらがいいですか?」

「合同墓に入るなら、いろいろな人のお骨と一緒になっても抵抗がありませんか? お骨は個別にしてほしいですか?」

西と東で違う! 合同墓のマーケティング

調査の結果、見えてきたのは明らかな地域性でした。東京の人はお骨が混ざることに抵抗感があり、関西では「いろいろな人のお骨と一緒になってもいい」と感じる人が多いのです。

理由は明確で、浄土真宗本願寺派の関西のお寺には、お墓がないところが少なくありません。それらのお寺の門徒は、昔から宗祖親鸞聖人のお墓がある京都の大谷本廟(ほんびょう)に合葬されてきました。また、大阪天王寺の一心寺は、合葬の寺として多くの方のお骨で「骨仏」をつくることで有名で、非常に多くの方が納骨されていることからも合葬が受け入れられている地域性がわかります。

付け加えると、骨壺のサイズも東と西で異なります。西のほうが小さく、東のおよそ半分。東はすべてのお骨を壺に納め、いちばん上に頭蓋骨を載せたりしますが、西は壺に入らないお骨は火葬場で廃棄処分にします。

築地本願寺は東京のお寺であり、多くの人がほかの人とお骨が混じる合葬に抵抗感があることから最終的に「ご遺骨はすべてお預かりし、パウダーにして個別のお骨袋に入れた状態で納骨堂に収蔵する」というかたちに落ち着きました。

合同墓と聞くと奇異に感じる人がいるかもしれませんが、実はすでに全国にあります。なぜなら、先祖代々のお墓でも納めるスペースには限度がある。お骨が多くなりすぎたら古いお骨を出し、どこのお寺にも必ずある合葬墓に入れるというやり方は昔も今も変わりません。

こう考えると時間が経てば誰もが合同墓で弔われるわけですし、もっと長期的な視点に立てばすべては土に還ります。その意味で私は個人的に、「亡き人を思うことに意味があり、お骨そのものにはさほど意味がないのではないか」と考えることもあります。宗派を問わずに「生前の意思」で受け付ける都市部にあるマンションタイプの「これからのお墓」(いわば「未来墓」)。築地本願寺の境内に、2017年11月に礼拝堂を備えた「築地本願寺合同墓」が創建されました。

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