コロナ禍でもウォルマートが強みを見せた理由 新宅配サービスを即発表したアジャイル型組織

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手がけたのは、システムエンジニア、事業担当者、デザイナーなどからなる部門横断チームである。本チームは、権限が委譲され自律的に動くことができるように設計・構成されたアジャイル型組織の一種である。

アジャイル型組織はテレワークに強い

コロナ禍を契機に、多くの企業でテレワークが導入されたものの、対面からオンラインに切り替わったことで、コミュニケーションの「量」と「質」が低下したことも否めない。

テレワークにおける効率的なチーム活動で重要なのは、①タスクをしっかり分解して可視化すること、②分散拠点でチーム作業すること──の2点である。これらがきちんとできているチームの生産性は、テレワークであっても大きくは低下しない。そして、こうしたチーム活動の参考となる組織が「アジャイル型組織」である。

変化に対する俊敏な判断や行動を「アジリティ」といい、これを冠したアジャイル型組織を、以下のように定義する。

①少人数の自律的なメンバーによって構成
②各メンバーの強みを生かしたタスクの分担
③高頻度なすり合わせを通じて施策を都度修正することで手戻りを低減

また、アジャイル型組織への変革においては、①経営層や事業部門の理解醸成、②マインドセットとスキルセットの変革、③成果の実現──という課題解決のアプローチが重要となる。

とくに新型コロナウイルス感染拡大期のような不確実な状況下では、一度決定した事項を試してみてもうまくいかないことがある。アジャイル型組織であれば、認識に齟齬が生じないよう、メンバー同士がすり合わせを高頻度に繰り返して早い段階で方向性のずれが修正でき、変化に対して迅速な対応が可能となる。

しかも、もしも失敗してもダメージは少なく、逆に新しい方法を試しやすい。こうした「小さな失敗」を繰り返すことで、最適なやり方に近づけていくこともできる。

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