プロスペクト・リート投資法人、合併で分配金増加見込むが、財務上の課題も

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プロスペクト・リート投資法人、合併で分配金増加見込むが、財務上の課題も

J−REITとして5例目となる合併を決めたプロスペクト・リート投資法人<8969>は17日、都内でIR説明会を開き、合併の概要や狙いについて説明した。

「合併により、規模の拡大や財務の安定が見込める。巡航ベースの分配金は現状を上回る水準を見込んでいる」(資産運用会社の築島秋雄社長)との見通しを示した。ただ、具体的な水準については、「現在のところは資料不足」(築島社長)としてコメントしなかった。

同投資法人は今年7月1日に、オークツリーをスポンサーとする日本賃貸住宅投資法人と合併することを決めている。ともに住宅を主な投資対象とするREITで、合併後の資産規模は1608億円(取得価格ベース)と、REIT業界第4位に躍り出る。試算では、170億円の負ののれんが発生する見込みで、「今後の物件売却に伴う売却損に充当していく」(築島社長)方針だ。

ただ、合併で財務上の不安がすべて取り除かれるわけではない。プロスペクトは3月15日付けで、期間2年6カ月の資金100億円の借り入れを行った。借入先は、REITが発行する投資法人債の借り換え対策として設立された、いわゆる「官民ファンド」。このファンドは昨年設立されたもので、プロスペクトはその利用第1号REITとなった。

金利水準は、TIBOR(東京市場における銀行間取引金利)+4.98368%とかなり高コストな資金調達といえる。支払利息や融資関連費用の増加によって、最終的に一口当たり分配金の減少は避けられない。それでも官民ファンドを利用した理由について、築島社長は「民間金融機関からの借り入れを含め、あらゆる方法を模索した結果、官民ファンドがベストと判断した。できるだけ早期の返済を実施する方針」と述べるにとどめた。

今回の合併はプロスペクトを消滅法人とする吸収合併で、合併比率はプロスペクト投資口1口に対し、日本賃貸住宅の投資口0.75口を割り当てる。日本賃貸住宅は、合併直前の6月30日に第三者割当増資約50億円を実施し、合併で承継する負債の返済原資に充当することにしている。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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