子の寝かしつけに「赤い電球」が効く科学的理由 ノーベル賞受賞研究室の睡眠学者が教えるコツ

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生まれたばかりの赤ちゃんは、お昼寝をするとき明るくても暗くても気にしませんし、昼間に日光に当てることで、赤ちゃんの体内時計にまだ昼間だと教えることができます。まだメラトニンを生成する時間ではなく、夜のように長く眠るときではないとわかってもらうのです。

バウンサーやスウィングベッドなどを使ってもいいですが、目を離さないでください。ベビーカーのほうが寝つきやすい子は、ベビーカーで散歩しながらのお昼寝でもかまいません。昼間は、赤ちゃんの周りが静かになりすぎないように、遊んだり、話しかけたり、音楽をかけたり、出かけたりしましょう。

反対に、こうした昼間の活動、光や音は、夜になったらゼロにします。寝かしつけの時間がきたら、夜モードをはじめます。寝室から赤ちゃんを出さず、声の大きさはささやき声にします。いちばん大切なのは、ふつうの照明はすべて消して、赤いライトだけを使うことです。

光の浴び方で寝つきが変わる

光に対する人間の反応を確かめた実験があります。2017年に、週末に参加者を集めてキャンプをした実験です。

『赤ちゃん寝かしつけの新常識』(東洋館出版社)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

多くの参加者が、寝つきが悪い、日頃からすっきり目覚められない、倦怠感がある、ベッドから出て数時間後にやっと「目が覚める」などと話していました。実際、事前の測定結果では、参加者たちのメラトニンの濃度は、起床時間・就寝時間と同期されていませんでした。

本来、メラトニンの濃度は、寝る時間にピークとなり、起きる時間に最小となるはずですが、参加者たちのメラトニンは目覚めたあとも高いままでした。

実験の当日、参加者はキャンプをするグループと、いつもどおりにすごすグループに分けられました。キャンプをする人たちは、照明や、スマホやパソコンがない状態ですごしてもらいます。

すると、キャンプをしてすごしたグループでは、メラトニンの時差ボケは解消されました。いつもの生活をつづけたグループと比べると、キャンプに参加したグループは、睡眠で疲労回復した状態が長くつづくようになり、寝つきや目覚めがよくなりました。この調査から、光の浴び方がいかに重要かがわかります。

キャンプにでも行かないかぎり、わたしたちは日が沈んだあとも明るい場所で活動して、日の出後もしばらくは眠ろうとします。照明や画面の光は夜の睡眠の、日光は朝の睡眠のじゃまになります。とくに夏は、緯度にもよりますが、起床時間よりずっと早くに日が昇ります。

まとめると、日中に浴びる光の量を増やし、夜と早朝に減らすことで、ぐっすり眠り、すっきり起きられるようになるということです。

ソフィア・アクセルロッド 睡眠科学者

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そふぃあ・あくせるろっど / Sofia Axelrod

睡眠科学者で二児の母。ニューヨーク・マンハッタン在住。ドイツのエバーハルト・カール大学テュービンゲン、フンボルト大学で学び、2012 年に生物学の博士号を取得。ノーベル生理学・医学賞を受賞したマイケル・W・ヤング氏の研究室に所属し、睡眠についての研究をおこなっている。自身も物心ついたときから不眠に悩まされ、子どもの寝かしつけにも悩んだことから、睡眠科学者としての知識をわが子の寝かしつけに生かすようになる。(写真:Winter Willoughby-Spera)

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