駅ナカ「幻の卵屋さん」に人が押し寄せる理由 「たまごかけごはん」という日本固有の食文化

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実際、各地で催事イベントを開催するようになってからもしばらくは赤字が続いたそうだ。

上野氏はもともとシェフ、ほか3人の理事も全員経営者で、ITやデザイン、内装関係など、研究所の活動に役立つ本業を営んでいたため、赤字でも楽しみながら続けてこられた。イベントの宣伝やグッズに使われている「16種のたまごかけごはん」イラストも、理事の1人の手によるもの。

なお、卵の賞味期限は産みたての状態から3週間程度に設定されていることが多いが、これは生食ができる期限。火を入れるのであればプラス1カ月は食べることができる。実は卵は自分で呼吸しており、自浄作用がある。長もちさせるためには、殻が硬い尖ったほうを下にして保管するとよい。黄味が盛り上がっており、白身がうっすら白濁しているほうが新鮮だ。こうした卵に関する正しい知識を広めるのも、研究所の目的の1つだ。

研究会は月に1度開催されており、毎回20人の一般参加者をSNSを通じて募集。先着順だが、人気があるため受け付け開始後すぐに募集人数に達してしまうという。やはり卵とたまごかけごはんが好きな人が多いようだ。

「スーパーの卵に戻れなくなり、“卵難民”になってしまう人もいますね。今はインターネットの通販で買える農家も。研究所の活動で、おいしい卵がもっと広まってくれることを願っています」(上野氏)

卵の甘み、旨味を堪能

「幻の卵屋さん」で買い求めた卵でたまごかけごはんを食べてみた。

まずはオーソドックスに、ごはんの上に卵を割り、しょうゆをかけて混ぜながら食べる。選んだのは「ハコニワファーム茜」。初めて「卵には甘みがある」事実を発見し、新鮮だった。

「ハコニワファーム 茜」をたまごかけごはんに。黄味は鮮やかなあかね色で、混ぜるとケチャップライスのようになる(筆者撮影)

次に、まずしょうゆを少量たらしてまぜ合わせてから、といた卵をかける食べ方に挑戦。選んだのは「夢王」だ。こちらのほうが、卵の味がよりダイレクトに感じられる。上野氏によると、普通のスーパーの卵では臭みが気になって、この食べ方はできないそうだ。

調味料として用いたのは、研究所で開発した公式醤油。薄味かつ少し甘めなので、卵の旨味をかき消さず、引き立ててくれる。

6個の卵を消費するまでに、一つひとつの味わい分けができるほどは極められなかったが、ブランド卵のたまごかけごはんは、スーパーの卵を使ったものとは違うということだけはわかった。また、確かに「ゆずたま」はゆずの風味が感じられる。卵の種類はわかっているだけで1500種類以上あるが、鶏の種類というよりも、育て方や飼料、水による違いだそうだ。

上野氏によると、たまごかけごはんの次におすすめの食べ方は温泉卵。栄養の吸収率がよく、消化によい。妊婦や高齢者にも向くそうだ。自宅ではなかなか作れないが、炊飯器の保温モードで30分置くとよいという。

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「幻の卵屋さん」の直近の出店は、12月14日まで東京駅構内、17〜28日は吉祥寺駅改札前。同研究所の今後を聞くと、「幻の卵屋さん」については2021年からは全国での展開を目指す。再び東京オリンピックに向けて、イートインの店舗も予定しているそうだ。

現在もまた、時短要請、自粛ムードで飲食店には厳しい状況となってきている。いっぽうで、家庭での食事に求める価値や質が変化してきた。ちょっとぜいたくなもの、変わったものを家庭でも食べたいというニーズの高まりが、同研究所にとっては追い風となりそうだ。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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