セガサミー「赤字のゲーセン」撤退後に残る不安 パチスロ・パチンコ低迷、カジノも暗雲漂う

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今期は新型コロナで来店客数が減少し、パチンコホール側の機器の購買意欲が低迷。2021年2月から完全適用される予定だったパチスロ・パチンコ機のギャンブル性の抑制に向けた風営法施行規則の改正が、ホールの経営悪化を考慮して経過措置期間を2021年11月末まで延長することになったため、機器の入れ替え特需も消滅してしまった。

パチスロはとくに販売状況が厳しい。各メーカーがギャンブル性の規則上限すれすれの機種を開発しようと競い、検定機関に申請が集中している。その結果、検定の作業が「大混雑」(パチスロメーカー関係者)し、メーカー側の事情で発売までの時間が長引いている。

こうした事態を受け、里見社長は「パチスロ・パチンコともシェアを持っている平和、SANKYO(の従業員数)に対し、(セガサミーでパチスロ・パチンコ事業を担う)サミーは連結で約1400人で圧倒的に多かった。利益を未来永劫出し続けるためには、これを同業他社並み、1000人以下にする必要がある」と人員削減の方針を示した。

カジノ参入計画に漂う暗雲

カジノを含む統合型リゾート(IR)への参入計画にも暗雲が漂う。セガサミーHDにとって国内IRの運営は、サミー創業者で里見社長の父親である里見治現会長から引き継いだ悲願だった。実現に向けてIR施設の企画・設計など年間数十億円の準備費を投じてきただけでなく、2017年には韓国企業とで合弁で運営するIR「パラダイスシティ」を開業し、ノウハウも蓄積してきた。

ただ、新型コロナの影響で国の募集スケジュールに遅れが生じ、セガサミーが運営権の獲得を狙う横浜市ではIRへの反対運動が日に日に勢いを増している。そもそも、国内IRは国や自治体に納める納付金が高額で、海外IR幹部からは「うまみがない」とされてきた。さすがのセガサミーHDも「参入条件などは慎重に見極めていきたい」(里見社長)と、参入への姿勢をトーンダウンせざるを得ない状況だ。

好調なゲームソフト・アプリ事業で食いぶちをつなぐ間、遊技機事業の収益構造を改善すると同時に、IR事業の展望を見出せるか。創業家出身の社長として、里見社長のリーダーシップが問われている。

森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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