セガサミー「赤字のゲーセン」撤退後に残る不安 パチスロ・パチンコ低迷、カジノも暗雲漂う

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セガサミーは祖業でもあるゲームセンター運営から事実上撤退する。写真は東京・秋葉原のゲームセンター(記者撮影)

傘下にパチスロ大手「サミー」などを抱えるセガサミーホールディングスは11月4日、ゲームセンター運営の子会社「セガ エンタテインメント」(SE)の株式のうち85.1%を売却し、事実上ゲームセンター事業から撤退することを決めた。

セガサミーホールディングスの里見治紀社長は11月6日に開いた決算説明会で「もしこのままわれわれが持っていたとしても、大幅な店舗削減をしなければいけない」と語った。

SE株の売却先はゲームセンター向け機器レンタルを営むGENDA社で、売却に伴い約200億円の特別損失を計上する。

不可避だったゲームセンター見直し

売却の最大の要因は、セガサミーHD自身の業績低迷だ。新型コロナウイルスは主力のパチスロ・パチンコ機の販売やリゾート施設運営など、セガサミーHDのほとんどの事業を直撃。11月6日に発表した2020年4~9月期決算は、売上高が前年同期比33.4%減の1102億円、営業利益は30億円の赤字(前年同期は146億円の黒字)に沈んだ。

赤字転落に伴い、セガサミーHDは構造改革委員会を立ち上げ、各事業の固定費などを見直している。中でも4~6月期に臨時休業し、再開後も集客が低迷しているゲームセンター事業の見直しは避けられなかった。同事業は売上高がほぼ半減し、4~9月期は27億円の営業赤字(前年同期は19億円の黒字)となっており、事業を継続するにしても大幅な店舗削減が必要だった。

そこで譲渡先に浮上したのが、GENDA社だった。同社の片岡尚会長は、2013年から5年間、同業のイオンファンタジーで社長を務め、アジアへの店舗網拡大により同社の時価総額を6倍近くに引き上げた実績を持つ。

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