シャケ、チクワは邪道!究極の「のり弁」作り方 朝7時に仕込んで、5時間まってから食べるべし

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シャケもチクワもない無骨で本格的なのり弁を作ってみた(写真:PIXTA)
「丸かじり」シリーズなど、笑いと共感の食のエッセイの第一人者で、大のビール党である東海林さだお氏が、「ゴハンの食べ方」についてひたすら考えた。『ゴハンですよ』では、コロナ時代で自炊の機会が増えた今こそ立ち返りたい、ゴハンを食べる楽しみを、あらゆる角度からつづっている。
今回は、おかずの一切ない「本当の海苔弁」について。質素なものながら、最高にうまかったその海苔弁を、無性に食べたくなって再現に挑んだ。試行錯誤の結果は……。

チクワ天やシャケなんかいらない!

久しぶりに海苔弁を食った。いやあ、うまかったです。それに懐かしかったです。そしていい匂いだったです、フタを開けたときの醤油のしみた海苔の匂い。

その昔、中学生のとき、高校生のとき、よく食ったあの海苔弁。海苔弁だとどうしても、食った、になる。食べた、では海苔弁の感じが出ないのです。弁当箱にゴハンを詰め、海苔でおおって上から醤油をかけまわしただけの海苔弁。最近のコンビニなどの海苔弁と称しているものは、海苔の上にチクワ天やシャケなんかがのっかっているが、あれは本家本元の海苔弁ではない。

許さん、ああいうのは。あっち行け。海苔だけの海苔弁は売ってないので自分で作るよりほかはない。何の番組で誰が言ったのか忘れたが、話の流れの中で海苔弁という言葉が出た。そうしたら急激かつ猛烈に海苔弁が懐かしくなった。食いたくなった。

「食ったろやないけ、こうなったら」と、鼻息が荒くなり、「超本格的な海苔弁を作ったろやないけ」。言葉が荒くなったのは、青春の熱い血が体の中に甦ったからである。

(イラスト:東海林さだお)

われわれはふだん、旅館の朝食で海苔が出てると、これを醤油につけてゴハンを食べる。海苔弁もまた醤油につけた海苔でゴハンを食べる。同じ食べ方なのに決定的な違いが一点だけある。何だと思いますか。

時間です。時間の経過。中高生のときの海苔弁は、朝作ったものを学校へ持って行って正午に食べる。旅館のは作ってすぐ食べる。朝の7時ごろ作った海苔弁を正午に食べるとなると5時間が経過していることになる。

すぐと5時間の差。しみこむわけです、お醤油が、海苔に、ゴハンに、5時間の間に。5時間かけて醤油が海苔とゴハンにしみこんだ海苔弁、ああ早く食ってみたい。作るからには超本格的本家本元海苔弁にしたい。

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