コロナ急拡大のマレーシアが観光を促進する訳 日本のGoToトラベルとはいったい何が違うか

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しかし、こうしたホテル業界や航空会社など民間の自助努力に大きく頼る格好となった現状に対し、徐々に観光業界からは政府のより大胆な支援策を求める声が相次いだ。それを受け、マレーシア政府は慎重に支援策を練ってきた経緯があり、9月中旬にはマレーシア国内の航空各社(マレーシア航空、エアアジア・グループ、マリンド・エア)などと連携し、国内線を対象に割安な航空券を提供すると発表した。

また、給与補助金制度(PSU)の一環として、売上高が前年比で30%以上減少した場合、最大6カ月間にわたり従業員200人(1社当たり)を上限に1人月額600リンギ(約1万5000円)が支給されることとなり、苦しい経営状況のなか従業員の賃金を払い続けなければならないホテル業界にとって、賃金負担を軽減できる大きな支援として受け止められた。

ところが、復活の兆しを見せていた国内観光は、「第3波」の到来で首都クアラルンプールを含め各地に感染が急速に拡大し、再び打撃を受ける事となった。10月以降、国内旅行のキャンセルが相次ぐ。マレーシア・ホテル協会によると、首都圏に再び活動制限令が発令されたことで、現在は平均20%まで落ち込んでおり、さらに今後5%程度まで下がる可能性すらあるという。活動制限令が継続されれば、20%のホテルが閉鎖などに追い込まれる恐れもあるとされ、極めて深刻な状況だ。

満を持して導入された今回のトラベルバブルとは

こうした経緯のなか、マレーシア政府が満を持して発表した今回の「国内トラベルバブル」だが、実はどこでも自由に旅行ができるわけではまったくない。実際に旅行できる国民は限定され、さらに旅行出来る対象エリアも極めて限られている。これは、マレーシア政府が「トラベルバブル」導入前に、感染拡大の引き金とならないよう極めて慎重にエリアを考慮した結果だ。

まず、マレーシアではその地域の感染者数に応じてゾーン分けがされているのだが、「トラベルバブル」により旅行が可能となるなのは、出発・到着地点がいずれも、新型コロナウイルス感染症の陽性患者(入院者)数がゼロの「グリーンゾーン」であることが厳格に求められている。

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