高齢期の患者負担は1割、2割、それとも? 「高齢者」でなく「高齢期」、世代間対立は不毛だ

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次をみてもらいたい。

人が高齢期に使う医療費は、この図の橙色のグラフに見るように極めて大きくなる。しかし、青色の窓口負担は55歳を超えるとさほどの差はない(グラフにカーソルを合わせるとデータラベルを見ることができる)。

高額療養費制度の存在を前提とすると、自己負担の議論は違った景色になってくる。

これは、後期高齢者の自己負担の推計分布状況である。加入者1人当たり平均(年間)自己負担額は8.1万円である。ここで仮に2割負担とした場合、年3.4万円増の11.5万円となる。自己負担率が1割から2割になると負担が2倍になるのは、自己負担額が低い人たちであり、大きなリスクを抱えた医療費が高くなる重病の人たちは2倍にはならない。

先に「医療保障制度の中核的役割を果たしている」と評した高額療養費制度があるからである。

高齢期の自己負担率の最終的な姿

ここからは、高額療養費制度の存在を前提としたうえで考えてみよう。

年齢で自己負担率が変わることに、どんな意味があるのだろうか。次は、年齢階級別平均収入である。たしかに、75歳以上は、ピークの50-54歳層よりも、収入というフローは劣る。

しかし今の高齢者は、「貯蓄現在高」から「負債現在高」を差し引いたネットのストックは現役と比べて圧倒的に多い。しかも相当数の人たちに、安定収入としての公的年金がある。

人が高齢期を迎えれば、ストックをフロー化していくのは自然な姿であるし、そのことを視野に入れることは、自然なライフプランであろう。フローとストックの双方を勘案すれば、年齢で区分された現役期と高齢期、いずれのほうが高い支払い能力なのかは判別できない。

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