それは、コロナの感染拡大が続いているからだ。
「3つの波」の違いとは?
コロナの感染は世界的に拡大している。アメリカでは新規感染者数の記録更新が続いており、感染者累計、死者ともに、圧倒的な世界一だ。同国では、感染「第1波」が収まらずに拡大している。
欧州では感染が再び拡大しており、英国のようにロックダウン(都市封鎖)に至っている国もある。これは、「第2波」だろう。一方、わが国は、欧米ほど深刻ではないとしても、おそらくは、寒気と「Go To」キャンペーンなどに伴う経済活動活発化の影響で、「第3波」と呼べるような状況でコロナの感染が拡大している。
わが国を含む多くの国の7~9月期のGDP成長率は「好調」だが、4~6月期の深い落ち込みを回復するほどではない。そこにコロナ感染の拡大を迎えており、実体経済の現状と先行きは決して良好には見えない。「株価と実体経済の乖離」を心配する向きも少なくない。「これで株価は大丈夫なのか?」と言いたくなるところだが、これで大丈夫だし、むしろこのほうが大丈夫なのだ。
要するに、現在の株価上昇の原動力は金融緩和だ。金融政策が目一杯緩和されて、さらにこれを財政政策が後押しして緩和の効果を拡大している。この状況をもたらしているのは、コロナによる経済の不調であり、例えば政権として許容できない失業率だ。
順番に説明すると以下の通りだ。
まず、3月、4月のコロナの感染状況と経済の急激なストップを受けて、リーマンショック時の教訓を持っている世界の政府と中央銀行は最大限の金融緩和と未曾有の財政拡大に踏み切った。これらは、コロナ最悪期に対応した政策だ。
しかし、各国いずれも経済を止めておくわけにはいかない。経済活動は徐々に再開された。わが国も、コロナ感染の第3波を迎えて、政府が「Go To」の見直しを渋っている様子を見ると、緊急事態宣言時のように経済活動をストップするつもりはなさそうだ。
政治的信条を表すキャッチフレーズ「自助、共助、公助、そして絆」のトップに「自助」が来る菅政権の下にあっては、国民は、感染のリスクはあっても、自己責任の下で経済的な「自助」の努力を行うことが行動の基本方針とならざるをえない。つまり、以前よりも経済は回る。
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