北陸・北海道に続くか、「四国新幹線」構想の盲点

四国4県は一枚岩か、通過点の岡山の動向も鍵に

とくにモータリゼーションの影響が深刻だった。四国にとっての悲願ともいえた、本州と四国を結ぶ3本の連絡橋が1999年までに完成し、さらに四国の主要都市を結ぶ高速道路も続々と開通したことから利用者は鉄道からクルマに流れ、運輸収入は減少の一途をたどった。本州と四国を結ぶ本四備讃線は黒字だが、ほかの路線はすべて赤字だ。

落ち込む収入を下支えするはずの経営安定基金の運用益も低金利下で本来の役割を果たせない。そこへ新型コロナウイルス感染症が直撃した。収益改善に向け利用者が減っている深夜の運行本数削減を10月から実施したほか、運行本数減や運賃値上げの検討も始めた。だが、西牧社長は、「利便性が低下すれば利用者は高速バスに流れてしまう」と話し、鉄道のコスト削減には限界があるとする。

JR四国と四国4県は2017年から「四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会Ⅱ」を開催して経営改善に向けた議論を続け、その結果を受けて鉄道とバスの共通時刻表の作成や一部の駅におけるパターンダイヤの導入といった施策を実施しているが、小粒な印象は否めない。JR四国に必要なのは抜本的な経営改善だ。沿線自治体や地元企業が期待するのは、新幹線の導入だ。

新幹線に期待する地元

西牧社長は、「新幹線は地域への貢献度が非常に高く、災害に強いという側面もあるので期待をしている」としつつも、「まだ経営に結び付けて考える段階ではない」と、慎重姿勢を崩さない。だが、新幹線の建設費用は国と自治体が負担しJRの負担はゼロ。時間短縮効果で在来線よりも旅客数の増加が期待できる。さらに新幹線と並行して走る赤字路線の経営を分離すれば、同社の収支は抜本的に変わる。

西牧世博(にしまき・つぐひろ)1955年岡山県生まれ。1981年大阪大学大学院修了後、国鉄入社。1987年JR四国入社。常務・総合企画本部長などを経て6月から現職(撮影:ヒラオカスタジオ)

国の新幹線整備計画は、九州新幹線西九州ルート(長崎新幹線)、北陸新幹線金沢─新大阪間、北海道新幹線新函館北斗─札幌間の開業をもって一段落する。次の新幹線整備はどこになるか。

「全国で新幹線の計画がないのは四国だけ。開業すれば波及効果は大きい」と、四国新幹線整備促進期成会の千葉昭会長は意気込む。

かつて国は、四国における新幹線基本計画として、大阪市を起点に淡路島を通り徳島市、高松市、松山市を経由して九州の大分市に抜ける四国新幹線、岡山から高知に抜ける四国横断新幹線の2つを定めた。しかし、前者は高知県にメリットがなく、後者は徳島県や愛媛県にメリットがない。期成会が描く四国新幹線は岡山から瀬戸大橋線を通り、高松経由で徳島、さらに高知、松山の3方面へ向かう「T字型ルート」で、4県にメリットがある。

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