東京都の携帯ネット規制条例に対し、業界団体や婦人団体、ネット利用の教育啓発団体が猛反発
携帯電話コンテンツサービスの業界団体や、婦人団体、ネット利用の啓発団体など10者は12日、東京都が10月の施行を目指して進めている「青少年健全育成条例の改正案」に反対する記者会見を開催した。
東京都が進める条例の改正は、表現の自由・通信の秘密が侵される懸念があるだけでなく、携帯やインターネットがからんだ子供のトラブルをかえって深刻化させる恐れがあると主張している。
条例の改正案では、インターネット・携帯電話の利用について、「青少年の健全な育成に配慮した携帯電話」を推奨する制度や、事業者に対して、フィルタリングによって青少年にふさわしくない情報にアクセスできないように努力するよう求めている。
出会い系サイトの規制が厳しくなったため、事業者が営業の場を一般のSNSやコミュニティーサービスに移行、また、旧来の出会い系利用者も一般サイトに流入していることもあって、本来”健全”とされているはずのサイトを舞台にしたトラブルもなくなってはいない。
トラブルの削減には、さらに厳しい規制が必要という認識で、東京都が改正を進めているわけだが、事業者団体はともかく、「青少年の健全育成」を旗印に掲げる婦人団体や啓発団体までもが反対を表明するのはなぜか。
とくに大きく問題視しているのが、フィルタリングの強化に関する規定で、条例が事業者に対して「青少年がインターネットを利用して自己若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為を行い、又は犯罪若しくは被害を誘発することを容易にする情報を閲覧する機会を最小限にとどめるものとなるように努めなければならない」と求めている点だ。
フィルタリングの規制となる情報を規定しているだけでなく、その基準も「犯罪、被害を誘発することを容易にする情報」と、非常に拡大解釈が可能なものになっている。行政が「誘発することを容易にしている」と考える情報ならすべて規制の対象となり、インターネット上のあらゆる情報を恣意的に規制することが可能になるわけだ。