この結果からも、親との世代間ギャップが色濃く出てしまうことは否めません。2015年の「50歳時の未婚割合」は、男性23.4% 女性14.1%です。しかし、1970年の生涯未婚率は男性が1.7%、女性が3.3%なので、親世代の感覚は結婚することが当たり前なのです(国立社会保障・人口問題研究所2018年版「人口統計資料集」)。
頭では理解しているつもりでいても、行動規範となる考え方の根本はそう簡単に変わるものではありません。無意識に言動や態度に表れ、知らず知らず、娘にそれを押しつけるのです。
物事に関する価値観や思考の基礎は、幼少期に親もしくは重要となる養育者との関係性の中で構築され、影響力が強く残ります。そして、それを覆すことはかなり困難です。
そんな中、世界が大きく動き、今までの常識が通用しないことに直面しながら、多くの情報や体験を通じ、何とか自分軸を構築しようとしている娘たちにとっては、親の言動1つが大きな障害となります。そこで葛藤が起こります。ここで折れては自己を否定してしまうことなる、かといって親に反抗するのも罪悪感がある。それならいっそのこと会わないほうがいい、関わらないほうがいいと思うのも、防衛本能として当然のことだと思います。
本来の自分自身をそのまま認めてほしいという気持ちが、否定されるわけですから、帰省したくなくなる気持ちにうなずけます。
さらに、年末年始だと、とくにほかの兄弟姉妹や親せき、その他、身近な人が集まる機会にもなるので、比較もされがちです。あからさまに、比べられることもあると思いますし、「○○ちゃんは、すごいわね!」などの何気ない会話でも、「それに比べてあなたは……」と言われているように感じてしまうこともあります。被害妄想だと言われたとしても、今までの親とのやり取りの中で起こった出来事やすれ違いの経験値がそうさせているので、避けようがありません。
感染リスクを避け、割り切って帰らない選択も
今年は、「コロナ禍で大義名分ができたけど、本当に帰らなくていいですかね?」と揺れ動く気持ちも多く語られます。
いずれにせよ、多くの方は、親とあえて仲たがいするつもりもないですし、自分を受け入れてもらいたい気持ちは、少なからず存在します。しかし、嫌な思いをするのが目に見えているのであれば、感染リスクを避けるという目的ももちろんありますが、今年は、割り切って帰らないのもありだと思います。
また、帰省する際には、受け入れるご両親は、是非、否定や批判、そして比較をせずに、あたたかく迎えていただけたらと切に願います。なかなか会えないので、顔を見ると、ここぞとばかりに心配な気持ちや気になっていることを言いたくなるのもわかりますが、伝えたところで、娘をコントロールできません。こうあってほしい、こうしてほしいという気持ちは相手を支配するコントロール欲求であることを自覚し、ひとりの大人として認め、理解的な対応を心がけてください。
年明けは、親や親族に対するトラブル案件も増えます。
心穏やかに新しい年を迎えられるよう、年末年始の予定を検討していただければと思います。
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