エバーノート、「上場は最短で2年後」 来日したフィル・リービンCEOに聞く

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また、ドコモとはエバーノートの販売チャネルを確保するために提携している。両社の関係は2008年から。シリコンバレーにあるドコモキャピタル(モバイル関連のスタートアップ企業に対する戦略的投資を担当)のスタッフがツイッターを通じて「会いたい」と言ってきた。私も日本に行く前で、エバーノートが一部のブロガーの間で話題になりはじめた頃だった。出資をしてもらったのは2009年。山田隆持社長(当時)に会い、ドコモの発表会のステージにも上がった。彼らのサポートがなければここまでサービスが拡大することはなかっただろう。

いちばん最初に出資をしてもらい、ディベロッパープログラム(サードパーティによるアプリ開発を支援するシステム)のスポンサーになってもらった。7月からは法人向けのサービスをドコモを通じて販売する。こうした提携は、ドコモ以外の会社とも進めていくつもりだ。

日本はリスク許容度が低い

Phil Libin●2005年にエバーノートを設立し、2008年6月にサービスを開始。 同社設立以前から起業家、経営者としてネット企業を創業し、成功に導いた経験を持つ。

――上場する考えはあるか。

最終的な目標は上場だ。エバーノートにはその責任がある。皆から信頼してもらうためにも上場して応えていかなくてはならない。ただ、急ぐべきではない。多方面で成長しなくてはならず、まだ上場にふさわしい会社とは思っていない。急げばできないこともないだろうが、上場した後に100年間存続することのほうがよほど大切だ。少なくともあと2年はかかるだろう。

――日本のスタートアップで興味のある企業は?

メッセージアプリのLINEは本当に興味深いし、色々なことを学んでいる。米国のサービスよりも成功していると言えるだろう。レシピサイトのクックパッドも成功していて、米国のレシピサービス会社を買収した。そのほかでは、次世代の車いすを開発している「WHILL(ウィル)」。実際に商品を見せてもらったが、ハードウエアとしてもイノベーションがあり、ハードとソフトの組み合わせという意味で大変面白い。

日本では中規模のスタートアップ企業が少なく、1~5人程度の小規模な企業が多い。ただ、起業マインドの活発さは感じるので、スタートアップ企業は今後、急速に増えていくのではないか。

――世界でヒットするサービスを生み出すためのコツは何か。

日本のスタートアップは日本の会社という意識があり、サービスがうまくいけば海外に出たいという考えがあるようだが、シリコンバレーのスタートアップには米国の会社という意識はない。「はじめからグローバルでサービスを展開する」という意識を持つことが重要だ。

日本とシリコンバレーのベンチャーキャピタルの考え方も違う。シリコンバレーは巨額の投資をして、長い間リターンがなくても、「成長していればいい」とすぐに利益を求めることはない。日本やほかの国はリスクに対する許容度が低く、早く利益を求める傾向があると思う。シリコンバレーの会社は利益が出ずに終わってしまうこともよくある一方で、「早く利益をださなければならない」というプレッシャーはないので、大成功する可能性も高いと思う。

(撮影:梅谷秀司)

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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