「親が関与するほど成績がよくなる」は本当か どの程度関わるのがいいかは微妙な問題
自身の著書『Dreams from My Father(父からの夢)』の中で、バラク・オバマ元アメリカ大統領は、インドネシアに住んでいたころの生活について語っている。外国人の子弟が通うインターナショナルスクールに通学するだけの金銭的余裕がオバマ家になかったので、母親は彼をインドネシアの現地校に通わせつつ、勉強不足をアメリカの通信教育コースで補った。
「週5日、母親は朝4時になると部屋に入って来て、朝食を強制的に食べさせる。それから3時間は英語のレッスンだ」とオバマは当時を振り返る。
レッスン後には、彼は学校に、母親は仕事に出かけた。彼が嫌がると、母親は決まってこう言った。「私だって楽しくてやっているんじゃない、わかる?」。どんなに彼が拒否しても、母親はかたくなに早朝レッスンを続けた。その結果、オバマは後にハワイの名門私立学校に入学し、アイビーリーグの大学に通い、最終的に大統領にまでなった。
親の関与と成績の関係性
この話で印象的なのは、オバマの忍耐力に加えて、母親による「関与の度合い」である。彼女はオバマに言い訳を許さず継続し、彼を教育的成功へと導き、それが本人の豊かなキャリアにつながったのである。
これは偶然ではない。
広範な調査によると、保護者が子どもの教育に携わっている場合、学校でのその生徒の学業成績はよくなる傾向がある。アメリカの国立小児保健発育研究所(NICHD)の幼児ケア研究ネットワークが実施した分析で、これが真実であることが判明している。
この研究では、階層線形モデルを使用して、1年次、3年次、5年次(サンプリング生徒数1364人)に至る、子どもの学問的、および社会的発達の軌跡を調査している。これは、親の関与と子どもの達成スコア、社会的スキル、および問題行動に関する母親と教師の報告間の関連を調べたものだ。
この調査結果から、学校の活動への親の関与は、子どもの成績に最も大きな影響を与えることが判明したが、それだけでなく、学校生活についての会話や読み聞かせ、宿題の手伝いなど家庭における親の関与も重要な役割を果たしていることがわかった。
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