数学が好きな人だけに見える「楽しすぎる日常」

日常生活の中にある「数学」を見いだすメリット

いちばん多くの回答が集まったのが「物心がついたときから好きだった」ではあるが、そのデータだけを悲観的に見ても何もいいことはない。

ほかの回答分布を見ると「学校の授業」「テストの点数」「本や番組」「学校の先生」「塾」「親や兄弟」など、さまざまな理由に回答が広がっている。数学嫌いの人の理由の偏りと対比してみるとその傾向をつかみやすいだろう。

学校の授業やテストの点数をきっかけに数学を嫌いになる、という経験はあるものの、塾の授業や本、番組、友人などがきっかけで嫌いになった、という人はほとんどいないのである。さまざまなシーンで数学に触れた人が、数学を好きになった、という見方もできる。

たしかに私も、ただ単に学校の授業で数学を好きになったというより、高校生のときに図書館の「数学コーナー」で授業では扱わない「数学の本」を読んだことや、数学の先生との授業以外での雑談、友人に数学を教える機会が増えていく中で、「数学が好き」という自覚が強まった記憶がある。

授業以外で数学に出合うことが、数学を好きになる1つのキーワードなのである。そして、さまざまなシーンで数学に出合っていく中で、知識としての「数学」が蓄積しているからこそ、さきほど触れた「あらゆるものを数学とひもづける」ことも得意になったともいえる。

そもそも数学を好きになると何が起きる?

さて、そもそも「数学を好きになる」メリットは何なのだろうか。それを知らないことには、「数学なんて将来何の役に立つの?」という、いわゆる数学にニガテ意識を持つ人が、必ずぶつかる疑問は解消されない。

そこで、拙著でも取り上げた数学で偉業を成し遂げたと言っても過言ではない偉人たちのエピソードをご紹介しておこう。いわゆる数学者とよばれる人たちの功績ではなく、一見数学とは関係ない分野で活躍していた人たちである。

まずは、革命家ナポレオン。彼は戦争の際に数学の技術を使っていたと言われている。大砲から相手までの距離を測るために、三角比を活用したのである。もちろん彼が初めて使った技術、というわけではないが、三角比で使う値を暗記し、即座に計算していたという逸話もあるほど、数学に対して信頼感を持っていたのである。

同じように日本でも伊能忠敬がこの三角比を活用し、日本地図の作成に取り組んでいた。彼はただ日本を歩き回って地図を描いたわけではなく、当時の技術を最大限活用し緻密に測量した。興味深いのは新しい技術を開発して測量したことはほとんどなく、田畑の大きさを測る方法をそのまま活用し、日本全体を測ったという話。理論上可能ではあるが、それを長年かけて実現させようとした、伊能忠敬の底力を感じさせられる。

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