コロナが奪った日本の観光産業の「明るい未来」 観光史上最大の「勝負の年」が台無しにされた
とくに観光立国という勇ましいスローガンを掲げた2003年から続く日本のインバウンド誘致・観光政策は、旗振り役となった政府の予想をも上回る目覚ましい成果を上げ続けている。
先述のように、国際社会で日本の各種産業の存在感が低下し続ける時代にあって、観光産業は数少ない優等生であった。
ちょうど国勢調査の結果によって日本が絶望的な人口減少局面へ突入しつつあることが明らかになったその年、2016年に打ち出された「訪日外国人旅行者数2020年4000万人、2030年6000万人」という強気な数値目標。それも人口減少への危機感と、この観光という「救国の産業」への期待の大きさの表れだったといえるだろう。
諦めるわけにはいかない
しかし、その最後の希望も、よりによって勝負の年を襲ったコロナ禍ですべて吹き飛んだ。
一度は手が届くかと思われた「訪日外国人旅行者数2020年4000万人」という目標の達成は誰が考えても不可能なものとなった。われわれはいま、平和産業とうたわれた観光産業の、そして観光という営みそのもののもろさを突きつけられて、ただ呆然としている。
しかし、緊急事態宣言の解除後、6月19日に開催された観光戦略実行推進会議において政府の観光戦略の実質的な司令塔を務めてきた菅義偉官房長官(当時)は「2030年に外国人旅行者を6000万人とする目標」を改めて確認。
また、7月17日に閣議決定された「骨太方針2020(経済財政運営と改革の基本方針2020)」においても「観光の活性化」に割かれる紙幅は前年度に比べ大きく削減されたものの、いまだ「2030年に6000万人とする目標等の達成」が述べられている。
「死んだ」「終わった」、そう言い立ててみても、崖っぷちのわれわれに残された手札はもう多くない。この国はまだ観光を諦めるわけにはいかないのだ。
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