「地頭力を鍛える」ためのフェルミ推定の活用法 例題:日本全国の道路の合計距離は何㎞か?

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また同じ特徴を有する既存の知識でロジックを適用できないかという「アナロジー」の活用もこの抽象化思考の応用です。そもそも道路を「格子」で考えるのは広義でのアナロジーともいえるでしょう。

地頭力のベースとなる「知的好奇心」

実は、フェルミ推定にいちばん求められるのは問題解決に対しての好奇心かもしれません。フェルミ推定の問いかけに対して「目を輝かせて」乗ってくるタイプの人と「何やら難しそうだ」と当惑してしまう人、あるいははじめから「わかるわけがない」と諦めてしまう人がいます。

この解答者の「目の輝き」(ファイティングポーズと言ってもいい)と地頭力はほぼ比例する傾向があるようです。

また、フェルミ推定の解答の根本には論理思考力があります。ここでは、誰に対しても合理的に話がつながっているということが算出ストーリーとして要求されます。

最後に直観力に関して、フェルミ推定は必ずしも論理的に考えるだけで解答の切り口を見つけることはできず、ひらめきや直観という要素が必要になってきます。

またある程度、フェルミ推定の数をこなすことによって、適切な仮説や切り口のオプションを考えるスピードが速くなってくるため、簡単なトレーニングの繰り返しによって、実際にはより複雑なビジネスへの応用力を上げることも可能になります。

細谷 功 ビジネスコンサルタント、著述家

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ほそや いさお / Isao Hosoya

1964年、神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業後、東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティング(クニエの前身)に入社。2009年よりクニエのマネージングディレクター、2012年より同社コンサルティングフェローとなる。問題解決や思考に関する講演やセミナーを国内外の大学や企業などに対して実施している。

著書に『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』、『アナロジー思考 「構造」と「関係性」を見抜く』『問題解決のジレンマ イグノランスマネジメント:無知の力』(以上、東洋経済新報社)などがある。

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