キリギリスは思考の自由度が高い 「固定次元」のアリから「可変次元」のキリギリスへ

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「次元を上げる」ためには「上位概念」で考える

それでは「固定次元」のアリと「可変次元」のキリギリスとでは、どのような思考回路の違いがあるのだろうか?

一言で表現すれば、それは「上位概念」で考えられるかどうかの違いである。上位概念の例を下位概念との比較で下図に示す。

ここでは3つの関係で上位概念—下位概念の関係を表す。目的—手段の関係、全体—部分の関係、抽象—具体の関係である。

アリは手段、部分、具体のみの世界で生きている。だから「壁を超える」ことができない。対するキリギリスは手段—目的—手段、部分—全体—部分、具体—抽象—具体という「上下の往復を繰り返す」ことで、壁を自由自在に超えていく。

目的—手段の関係を例にとって説明しよう。問題解決重視のアリにとって重要なのは、手段である。なぜならアリには現実と実行がすべてであるからだ。つねに現実に「目に見える」形で存在するのは手段だからである。「目的」という、目に見えない将来のものに気をとられるのは「時間の無駄」である。とにかく、目の前の手段を着実に実行するのがアリのミッションである。

これに対して、キリギリスは目的のためには手段は選ばない。ある目的を中心に考えたとき、そのための手段との関係というのは、下図に示すように、「1対N」の関係になっている。だから、目的という上位概念で考えることによって、特定の手段という「壁の中の世界」だけにとどまらずに、大きな視点で当該目的を達成するための手段を選べるようになるのである。

 

次ページアリは「How」を問い、キリギリスは「Why」を問う
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事