トランプ"身内メディア"裏切りにぶち切れた夜 FOXが流したアリゾナ州の速報が流れを変えた

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

バイデン氏のスピーチの最中、トランプ氏はこの夜初めてのツイートを行い、民主党が選挙を「盗もうとしている」と根拠もなくつぶやいた。続くツイートでは、自分も会見を行うと表明。実はこのときすでに、イーストルームには大統領の紋章が付いた演台が準備万端、整えられていた。

トランプ氏の側近らは、バイデン氏がウィルミントンでスピーチを行う前にイーストルームから何か言葉を発するよう説得を試みていた。しかし、これは頓挫し、トランプ陣営はバイデン氏がその夜の流れを決定づけていくのを、指をくわえて見守る羽目に陥った。

トランプ氏がイーストルームに姿を現すのに、さらに数時間を要したのはこのためだ。トランプ氏は大統領執務室に側近を集め、得票状況をどのように位置づけるべきか、勝利宣言を行うことは可能か、あるいはもっと微妙なスタンスをとるべきか、といったことについて話し合っていた。

トランプ氏は、微妙なスタンスは選ばなかった。

加速する責任転嫁と内輪もめ

「これはアメリカ国民に対する詐欺だ」。午前2時30分、トランプ氏は支持者の集団を前にこう語ったが、この発言に対してはクリス・クリスティ元ニュージャージー州知事ら身内からも即座に批判があがった。トランプ氏は続けた。「わが国の恥だ。私たちは選挙に勝とうとしていた。率直にいって、私たちは選挙に勝ったのだ」。

さらに時計が進み、バイデン氏がミシガン州とウィスコンシン州を制したことが明らかになり、トランプ陣営の形勢が一段と不利になっていったこの日、トランプ氏は1日中、公の場に姿を見せなかった。トランプ氏が大統領執務室にいるときにウエストウイング(執務エリアのある西棟)の扉の前で警備をしている海兵隊員の姿も、この日は1日中、確認できなかった。

4日午前中、トランプ氏はホワイトハウスの居住棟から支持者や友人に電話をかけ続けていたが、何人かの人々にはトランプ氏の声にはいつもより力がなく、気落ちしているように感じられたという。

次ページホワイトハウスで始まった非難合戦
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事