「象を買った」不正伝説も!海外ロケの衝撃実態 想定外はつきもの、経費のごまかしもはびこる

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さらに、中にはこんな”豪傑”もいるとDさんは話す。

「東南アジアと南米に1人ずつ『現地妻』がいるディレクターがいるんです。たまに現地へ送金していますよ。『(現地妻が)俺のために豊胸手術してくれたんだ』と嬉しそうに語っていたときに『アホか』と思いました。『きっとアンタのためじゃないよ』と言ってあげるべきか、言わないべきか(笑)」

これは極端なケースであるが、それくらい海外に行くとハメを外す人間もいるということだ。前出のAさんは「海外では極端な話、やろうと思えばいくらでもヤラセができる。ディレクターの良心にすべてはかかっている」と指摘する。制作陣がモラルを保つことの重要性を常に意識しながら仕事に臨んでいるのだという。

そんな海外ロケ番組だが、現在非常に深刻な事態に直面している。言わずもがな、コロナ禍の影響で、海外にロケに行くことが非常に難しくなっているからだ。

この道10年以上の海外専門リサーチャー・Bさんはこう指摘する。

「緊急事態宣言が解除されてから、なんとかして新しい取材をするようになりました。国内ロケをする場合と、海外の現地にいる人に撮影を頼む場合があります。企画決定から放送までの時間が短くなっているので、急いで調べないといけないケースが増えています」

コロナ禍は「チャンス」と捉えられることも

有名海外番組のチーフディレクターを務めるEさんは、「海外ロケ番組は現在ピンチではあるが、逆にチャンスと捉えられることもたくさんある」と、この事態を前向きに捉えて頑張っているという。

「コロナ禍で海外ロケに行けなくなって初めて、番組が過去に取材した大量のVTRを見直すことができました。そこに思わぬたくさんの財産が埋もれていることに気づけたのです。これからは、こうしたアーカイブを有効活用して、新たな魅力を見せられるような番組にしていかなければならないと痛感しました」

ほとんどの番組の海外ロケは現在、海外にあるコーディネート会社や技術会社に撮影を依頼し、現地に住む日本人にレポーターとして出演してもらっている。海外の邦人の中から留学生・文化人・芸術家・元タレントなどの才能の発見・争奪戦が始まっているのだ。

そして、ロケの方法も大きく進歩したとEさんは言う。

「ディレクターは東京にいて、オンライン会議システムなどで現地のカメラマンと結び、現地で撮影されている映像をオンタイムで見ながら指示を出すことができるようになりました。

一部の国ではすでに取材ビザの発給も始まっていて、意外と早く海外ロケを再開できそうですが、このままいけば今後も『現地へはいかないで東京からリモートで演出する』という方法が一般的になるかもしれません」

重要なロケだけ、日本からロケ隊を現地に派遣し、それほど重要でない部分は今後も「東京にいながらにして海外ロケをする」という時代が、コロナ禍を契機に到来したのかもしれないという。これは驚くべき「放送業界の飛躍的進歩」と言えるのかもしれない。

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