韓国「ダウムカカオ」はネイバーに勝てるか 世界で相次ぐメッセンジャーアプリの再編

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実際、今回の合併は両社にとってメリットが大きい。

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右肩上がりの成長を続けるLINE

モバイルメッセンジャーアプリをめぐっては、LINEをはじめ、楽天が買収したキプロスの「Viber(バイバー)」(ユーザー数約3億人)、フェイスブックが買収した米「WhatsApp(ワッツアップ)」(同約4.5億人)などの競合が世界でしのぎを削っている。

カカオトークは世界で1億3000万人ユーザーを抱えるが、イ代表が会見で「カカオトークはこれ以上ユーザーを増やすのが目標ではない」と発言するように、ユーザー数の成長に限界が見えてきていた。主力のゲームの売り上げは頭打ちで、ほかのサービスも振るわない状況だった。

カカオにとって、ダウムのポータルサイトや広告収入などが加われば、収益構造の多角化による成長という課題を解消できる。「カカオが持っているモバイルトラフィックに、ダウムの情報コンテンツを載せることができれば、新たなビジネスを多く創出できる」(イ代表)。

一方、ダウムにとって、ユーザーが日常的にコミュニケーションに利用するメッセンジャーアプリを持つことは、立ちふさがるネイバーの壁を越えるための強力な武器になる。会見で「ネイバーの独走を防ぐことができるか」と問われたダウムのチェ・セフン代表は、直接的な言及は避けながらも、「(合併後の)ダウムカカオは強大な競争力を持つようになると思う」と自信を見せた。

ネイバーとの因縁

韓国では、ネイバーのイ・ヘジン理事会(取締役会)議長と、今回の合併で最大株主になるカカオのキム・ボムス理事会議長の正面衝突する時期が来たと話題になっている。というのも、キム議長はもともと、イ議長とネイバーを協同創設した仲であるためだ。

しかも二人は、ソウル大学同期、卒業後に入社したサムスンSDSでも同期。2007年に、キム議長は「新しい挑戦をしたい」とネイバーを退社。その3年後、キム議長はカカオトークを発表している。

インターネットポータルとモバイルプラットホームという事業構造が極めて似ている両社の対決は、韓国社会では奥深く根付いたサービスを提供する企業の戦いでもあり、非常に高い関心を集めている。だが、国境のないIT業界では世界という視点なくして戦えない。ダウムカカオが韓国国内にとどまらず、世界でどのような成長戦略を描けるかが試される。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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長谷川 愛 東洋経済 記者
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