JX、「東電との提携はウィン₋ウィンで」 木村康・JXホールディングス会長に聞く

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――アライアンスの規模としてはどの程度が好ましいと考えるか。

当然、東電の意向次第ではあるが、せいぜい3~4社ではないか。(他の提携先としては)ガス会社や電力会社だろう。

――電力自由化に向けては、原子力発電所の再稼働の行方も影響を与えそうだ。

原発の稼働状況によって、新規の発電所の必要性も変わってくる。(4月に閣議決定された)政府のエネルギー基本計画でも原発の再稼働スケジュールや、電力に占める原発の割合は示されておらず、電力事業を行ううえでアクションを起こしにくい事情もある。

家庭向けガスの参入は慎重

――一方、ガスの全面自由化への対応は。

当社は水島(岡山県)にLNGの輸入基地を持っており、15年には八戸(青森県)に新しい基地が完成する。これにより、すでに行っているガス会社向け卸売りや産業向けの小売りを拡大していく。(大手ガス会社が保有する)LNG基地やガスパイプラインの開放が実施されれば、さらにビジネスチャンスは広がると見ている。

一方、家庭向けの都市ガスは電気とは違い、保安の問題が大きい。安全性が最優先なので、それを十分に考慮したうえで検討する必要がある。

――電気にしろ、ガスにしろ、料金を安くできるか。

競争によって安くすることが必要だと思うし、目標になる。もう一方で、エネルギーは社会インフラであり、供給の安定性が求められる。自由になれば、安くなれば、何でもいいというわけではない。安定性を担保するにはコストもかかる。そのバランスがどうあるべきかが今後、自由化を巡る議論の中で問われてくるだろう。

(撮影:今井康一)

中村 稔 東洋経済 編集委員
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