【産業天気図・空運】JAL破綻の業界影響不透明、ビジネス客低調が業績圧迫。首都圏空港拡張で後半「曇り」に期待
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
航空業界は2010年4~9月は「雨」、10年10~11年3月は「曇り」になる見通しだ。ビジネス客の回復が遅く単価は依然厳しいが、10月の羽田空港拡張による国際線就航拡大がどこまで需要喚起につながるかが注目だ。
日本航空<JAL、2月上場廃止>が1月に経営破綻して幕を開けた2010年。JALは会社更生法に基づく再建計画を6月末までに裁判所に提出する見通しだが、計画が全日本空輸<ANA、9202>やスカイマーク<9204>などの業績に大きな影響を与えるのは必至だ。
JALが旅客需要の多いドル箱路線を飛び続け、料金競争に走れば、競合他社の収益を圧迫する。一方で、路線を大幅縮小して細々と事業を続けるのであれば、逆に他社にとって収益路線での寡占度が高まり競争上優位になる。
足元の航空市場は依然軟調だ。旅客数は復調傾向ではあるが、単価は大幅下落。09年後半からJALがディスカウント販売した影響や、ANAも観光客中心に旅客を集めたことで競争激化。これに加えて、格安運賃を維持するスカイマークがデフレ不況下で好調に推移。各社ともコスト削減を大幅に進めて対抗しているが、売上が伸びない中で軒並み厳しい収益状況となっている。
JAL破綻後に他社へ旅客が流れているかどうかはまだ統計上分からないが、JALの通常運航を政府挙げて保証したため、現状では大幅な旅客流出が起きているとは想定されない。
10年度は前後半とも、国内線で旅客低迷が続く見通しだ。路線撤退や縮小の進行で需給バランスが最適化し搭乗率が改善したとしても、なお不景気の影響で高単価のビジネス客が戻らないとみられる。一方、国際線需要は前半から前年同期をやや上回り、後半はさらに加速しそうだ。首都圏空港で成田空港が3月に拡張、羽田空港が10月に拡張され、両空港とも国際線が拡大されるためだ。
JALの計画は不明だが、少なくともANAにとっては、不採算である関空や中部国際空港の路線・便数を見直して、好採算の首都圏に集中できるメリットも生まれる。国際線でビジネス客が戻ることを前提に上向く公算だ。
(冨岡 耕)
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