「リアリティーショー」が世界で流行する必然 恋愛系、オーディション系が大人気

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「ラブ・アイランド」の販売地域の拡大は、アメリカ版の成功も大きい。米4大ネットワークのCBSで2019年から放送開始されると、人気番組へと上り詰めた。

第2シリーズに突入した2020年は、本家のイギリスが新型コロナ禍の影響で新シリーズの放送を見送るなか、感染症対策を十分に講じながら、8月末から毎週土曜日のプライムタイム帯で約6週にわたって放送された。最終話を迎えた9月30日以降、「どのカップルが優勝者なのか」といったニュースで賑わせている。

リアリティショーは世界の番組市場で連続ドラマと並ぶ売れ筋の番組ジャンルとして位置づけられている。数年単位で「ラブ・アイランド」のような世界ヒット番組が生まれ、企画段階から世界市場で流通させることを狙って、新たな企画が次々と開発されている。

なかでも「ラブ・アイランド」を始めとするリアリティショーのヒット作が多いイギリスは、リアリティショーを含むバラエティ番組フォーマットの輸出実績におけるトップ国である。

スイスの番組リサーチ会社WITによると、イギリスはバラエティ番組フォーマットの輸出額世界シェアの3割をも占めるダントツのトップ国。イギリスに大きく引き離されながらアメリカ、オランダが続く。輸出額のうえでは上位ランクに入らないが、イスラエルも世界ヒットを生むリアリティショー企画に強い国として知られている。

世界に「バラエティ」というカテゴリーはない

だが、リアリティショーそのものが今ここにきて突如、世界の番組市場において注目されているというわけではない。そもそも世界の番組市場では「バラエティ」という名のカテゴリーはなく、ドラマが「Scripted(台本あり)」であるのに対し、リアリティショーは「Unscripted(台本なし)」のエンターテインメント番組のカテゴリーに含まれる。

そのUnscriptedのなかに歌や料理、クイズ、恋愛といったジャンルがあり、リアリティショーの一般的なイメージにある“ロケセット”“ルール縛り”“一般視聴者参加型”などから外れたものでも、リアリティショーとして売り出されることも多々ある。

例えば、“スタジオセットのセレブ出演”番組をリアリティショーと呼ぶことがある。近年は、売れる要素を掛け合わせたリアリティショーが多発しているのが特徴の一つにある。そのためUnscripted=リアリティショーと捉えられることもあり、リアリティショーが急浮上トレンドのように見えているのも事実である。

もともとリアリティショーは、とある設定のもと、カメラで出演者の行動を一部始終追い、台詞ではないリアリティのある言葉や心情をそのまま映し出したTVショーとして発展した。以前は「覗き見趣味」を高じた番組、と揶揄されることもあったが、SNS時代に入ると、日常生活を世間にさらけ出すことに抵抗を感じない人々が増え、それを受け入れる土壌もできた。

だから、TVショーとして展開するリアリティショーに人気が集まっていったと分析できる。それゆえに、リアリティショーを売りにするのは、時代の流れに乗った当然の傾向でもある。

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