2027年「リニア」、いよいよ今秋着工へ ついに総額9兆円の巨大プロジェクトが始動

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既存の鉄道のような鉄製のレールでなく、リニアはコンクリート製でU字型のガイドウェイの中を、地上から10cm浮き上がったまま走行する。従って構造上は脱線という概念がない。同じリニアでも、ドイツの「トランスラピッド」(中国・上海で運行)や、日本の「HSST」(愛知県でリニモとして運行)のような「常電導」とは、原理が異なる。

開業は2027年。東京―名古屋が40分で通勤圏に?

そのリニアが今秋着工される。開業予定は2027年だ。東京(品川駅)―名古屋(名古屋駅)は、たった40分で結ばれることになる。現在運行している「のぞみ」が1時間28分(88分)だから、所要時間は半分以下に短縮される。2045年には名古屋―大阪(新大阪駅)が67分となり、今の2時間18分(138分)から、こちらも時間は半分以下である。

片道40分となると、東京―八王子の45分(中央線快速)よりも早い。もはや立派な“通勤圏”である。現在、JR東海が発行する新幹線の通勤定期「FREX」は、最長で東京―浜松まで。リニアができれば、名古屋までの通勤・通学定期券ができるかもしれない。

それだけリニアは人々の生活を一変させる可能性を秘めている。リニアは主に移動時間の短縮効果などを通じ、企業の生産活動や個人の消費活動に多大な影響を与えよう。交通政策審議会によれば、リニアの経済効果(大阪開業時)は、利用者の利便性向上などの「便益」で1年間に7100億円のプラスをもたらし、旅行関連産業などの「生産額」を1年間に8700億円増加させる、と推計されている。

個別の産業にも少なからぬインパクトを与えそうだ。車両メーカーで見ると、現在の新幹線は、川崎重工業と日立製作所の2大巨頭がシェアの多くを占めている。が、リニアでは、先頭車両を三菱重工業が受注、中間車両は、JR東海子会社の日本車輌製造が獲得した。

特に三菱重工にとって、高速鉄道は初の受注。リニアの先頭長は15mあるが、「空力特性など航空機の技術と似たところが多く」(JR東海)、国産の小型ジェット旅客機「MRJ」でも実績のある三菱重工に、白羽の矢が立ったのである。

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