中国VSインド「デジタル超大国」の勝者の行方 外資を規制するか開放するかで戦略が異なる

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2018年に所得税法を改正し、「重要な経済的存在(Significant Economic Presence)」との概念を導入することで、インド国内に物理的拠点や代理人が存在しなくても課税できるようになった(上田2020)。デジタルサービスへの課税をめぐって、新興国に同様の動きが広がっていくか注目される。

このように見ると、新興国のデジタル経済をめぐる閉鎖と開放の問題を、プラットフォーム企業の国産化に直結させて議論するよりも、それぞれの国の内部における競争と規制の状況や、ローカルな需要への対応状況に着目したほうが建設的であるように思われる。

人口大国は多数のユーザーを確保できる

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中国とインド、そしてインドネシアのような人口大国では、国内市場のみでも多数のユーザー数を確保できるため、封鎖しても一定のネットワーク外部性が生じることは確かである。

ここでデジタル時代の幼稚産業保護論、すなわち「輸入代替デジタル化」戦略を採用する誘惑は大きい。

しかし輸入代替工業化戦略が国際市場で競争できない大企業を生み出したという経験を思いだすことも必要だ。国外サービスを制限する「輸入代替デジタル化」戦略の採用は、決して有力で先駆的なプラットフォーム企業の誕生を約束しない。それが非クリエイティブで時代遅れな独占企業の登場を招きかねないことには注意が必要だ。

伊藤 亜聖 東京大学社会科学研究所准教授

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いとう あせい / Ito Asei

1984年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程満期退学。博士(経済学)。専門は中国経済論。人間文化研究機構研究員などを経て、2017年4月から東京大学社会科学研究所准教授。単著に『現代中国の産業集積―「世界の工場」とボトムアップ型経済発展』(名古屋大学出版会、2015年、大平正芳記念賞、清成忠男賞受賞)、共編著に『現代アジア経済論―「アジアの世紀」を学ぶ』(有斐閣、2018年)など。

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