中国VSインド「デジタル超大国」の勝者の行方 外資を規制するか開放するかで戦略が異なる

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もう1つの新興大国であるインドではどうか。インド市場では、外資企業の存在感が大きい。グーグルをはじめとするアメリカ企業のサイトへのアクセスも許容され、また外国からの投資についてもこれまで制限されてこなかった。

例えばアメリカのアマゾンと中国のアリババは、インド国内での事業を拡大させており、米中の二大プラットフォームの関連企業がインドでしのぎを削っている(図表)。

スマートフォン・アプリの市場では地元インド企業がシェアを高めつつあるものの、その他の分野では依然として海外企業のシェアが高い状況にある。

外国企業のシェアの高さを背景に、デジタルサービス貿易規制指数(グラフ)にも示されているように、近年インド政府は規制を強化している。

インド連邦政府の商務省は、電子商取引事業のなかでもアメリカのアマゾンが実質的に採用してきた「在庫型事業」は中小店舗への負の影響が大きいとし、規制をはっきりと打ち出している。

海外企業のシェアが高いインド

在庫型の電子商取引とは、プラットフォーム企業が自ら大きな倉庫を持ち、そこから彼らの在庫商品を発送する形態である。一方で、インド政府は中小店舗がオンラインプラットフォームに出店する、いわゆるマーケットプレイス型には寛容的である。日本でいえば楽天市場がこの類型にあたる。

インドでは外国直接投資の規制として、外資企業による在庫型電子商取引業への参入を禁じてきた。そこで問題となったのが、アマゾン関連会社を一店舗として出店させる手法だった(日本貿易振興機構2019)。

電子個人認証と決済プラットフォームの設計のように、インド政府は土台を作るものの、その後は海外プラットフォームも含めて国内で競争してもらうという発想を持っている。そのうえでインド政府は海外プラットフォーム企業を念頭に、インド国内でのデジタルサービスへの課税を準備するしたたかさを見せている。

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