ある夫婦が「米大統領選」で激しく対立するワケ さまざまな波紋を呼びながら決戦の日へ

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また、多くの州で(全米41州とワシントンD.C.)候補者以外の名前を書くことが認められているが(Write-inとある)、そのうち33州とD.Cでは、Write-in候補者として登録された名前以外は記入が認められていない。自分自身の名前など、誰の名前でも書けるのは、ニュージャージー州を含む7州だけである。

ニュージャージー州のある町の投票用紙のサンプル(表)
ニュージャージー州のある町の投票用紙のサンプル(裏)

投票項目も大統領選挙だけではなく多岐にわたっている。州によって異なるが、ニュージャージー州のある町では、大統領選挙以外にも「上院議員、下院議員の改選」「嗜好用大麻の合法化の賛否」「市長選挙」「学区の教育委員会の選挙」「退役軍人の土地の減税の賛否」など、多岐にわたっての投票項目がある。

投票後は郵便局で仕分け機の出番となるのだが、最新の機械は封筒やはがきの表面にある切手や宛先を画像で確認するほか、コンピューターがデータベースの住所と照合し、自動的に高速で仕分けることができる。

期限内に投票用紙の集計が終わらない可能性も

今回の大統領選ではあらかじめ新型コロナの影響で、郵便投票の数がかなり多くなることが予想されたが、6月に郵政公社のトップになったルイス・ディジョイ総裁は、経費削減の一環という名目で雇用者を減らし、全米各地にある仕分け機械の数を大幅に削減する指示を出したのだ。そのため配達の遅滞がすでに起こっている。

トランプ大統領は投票権の無い人が票を入れたり、郵便物が廃棄されたりして不正を招く危険があるという理由で、郵便投票の拡大には反対してきたが、本当の理由は低所得者やヒスパニック系の浮動票がバイデン氏に流れることを恐れているためだと言われる。また、アメリカの郵政公社は慢性的な赤字で、ネット通販の影響で小包の量は増えているが、封書やはがきの量は減っているという背景もある。

ニュージャージー州の投票用紙投函箱。各市町村に設置され、郵便に頼らずに投票できるようになっている

「ルイス・ディジョイ総裁はトランプ大統領に近く、共和党の大口献金者でもあります。ディジョイ総裁は疑惑を否定していますが、民主党や組合などからは、トランプ大統領に忖度をしたのではないかとの疑いがかけられ、疑惑は晴れていません。また11月に入ると、クリスマス商戦もスタートするため、期限内に投票用紙の集計が終わらないのではないかということも危惧されています」(現地ジャーナリスト)

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