「河井夫妻裁判」と「オウム裁判」の奇妙な共通点 証言拒否、弁護人解任、不規則発言による妨害

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地下鉄・松本両サリン事件や坂本弁護士一家殺害事件など、一連のオウム事件の首謀者として裁かれ、2年前の7月に死刑が執行された麻原。その初公判は、逮捕から5カ月後の1995年の10月26日に予定されていた。

審理を止めて抵抗した麻原彰晃元死刑囚(写真:Kaku Kurita/アフロ)

ところが麻原はその前日の夜になって、1人だけだった私選の弁護人を突如、解任。裁判の開始は延期となり、世間を騒がせた。そうして裁判を先延ばししている。このとき、裁判所は国選による弁護人を12人選任して、それから半年後の1996年4月24日に初公判を開いた。

公判がはじまったはいいが、今度は開廷ペースをめぐって、麻原側と裁判所がもめる。

月に6回のペースで審理を進めたい裁判所に対して、それでは準備ができない、十分な弁護活動ができないとして、麻原の弁護団が反発。ついには開廷期日に弁護人が全員出廷しないというボイコットまでして審理を止めて抵抗した。結局は月に4回のペースで裁判が進むことになる。

期日をめぐってもめるのも一緒

河井夫妻の裁判は「百日裁判」として進められてきたはずだった。選挙効力の有無にかかわるため、起訴から20日以内に初公判を開き、100日以内に判決を出すように努力しなければならないことが公職選挙法で定められている。

そのため、週に3~4回のペースで公判が開かれることになっていたが、それでは証人尋問が過密で、準備をする時間がない、十分な弁護活動ができないと不満を募らせた克行被告が、弁護人を解任している。

期日をめぐってもめるのも麻原と一緒だ。しかも、克行被告の場合は一旦解任した6人のうち4人を再任している。理由ははっきりしないが、「被買収者」の証人尋問を前に審理を止めさせているのだから、意図的なものがあったと勘繰りたくもなる。

克行被告は、弁護人を解任するまでの公判で、証人を恫喝することもあった。9月4日の裁判には、案里被告の公設第1秘書が出廷。検察の取り調べに関する弁護側からの質問の答えに窮すると、検察官に助けを求めるように視線を送っていた。

そこに克行被告の太い声が響く。

「なんで検察のほうを向くんだ!」

それを裁判長が不規則発言として注意している。

不規則発言による証言妨害は、麻原が繰り返したことだった。事件について証言するかつての弟子たちに、証言台の真横の被告人席から「地獄に堕ちるぞ」なとど聞こえるようにささやいて、証言を止めてしまうことすらあった。そのたびに裁判長の注意が飛んだ。

麻原に限らず、かつての弟子たちも自身の公判で証言の妨害をしている。取り調べ状況を証言する検察官に向かって、いきなり「嘘つき!」と怒鳴って手前の長机を両手で思い切り叩いて立ち上がったり、共犯者の曖昧な証言に不満を抱いたのか、喉から絞り出すような声で「なに、ニヤニヤしてんだよぉ」と威嚇したりする被告人がいたほどだ。

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