南アジアでフリーランスがじわり増えている訳 エンジニアや主婦も英語や技能を駆使し活動

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オックスフォード大学インターネット研究所は、主要なフリーランサー向けプラットフォームから情報を収集し、その結果、プロジェクトへの応募状況から見てフリーランサーの数が最も多いのは南アジアである。

図表には、2017年6月から2019年7月までの2年余りの間にプロジェクトに対して応募された総数を示している。

インドからは約3900万件、バングラデシュからは約2800万件の応募があった。とくにインド、バングラデシュ、パキスタンといった国々のエンジニア、そして主婦も英語能力やその他の技能を活かしてフリーランサーとして活動している。

個人間のリスクをコントロールできる時代に

このデータは、英語のフリーランスマッチングサービスの登録データをもとに集計されているため、英語話者が多い地域が上位に入っているが、それ以外の国々でも国内のマッチングサービスでの利用は増加している。

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トーマス・フリードマンは、『フラット化する世界』で国境を越えたサービス業務の委託が広がっていることに注目した(フリードマン、2006)。

当時はアメリカの大企業が、インドの大手受託会社に委託する例がその典型であった。しかしこうした国境を越えた業務委託が、個人と個人の間で、なおかつリスクをコントロールしてやりとりできる時代に入っている。

特定の法人企業に所属して業務を行い、月給をもらうことを現代社会の特徴の1つだと考えると、南アジアで広まっている特定企業に所属しないフリーランス経済は「ポストモダン」的である。

伊藤 亜聖 東京大学社会科学研究所准教授

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いとう あせい / Ito Asei

1984年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程満期退学。博士(経済学)。専門は中国経済論。人間文化研究機構研究員などを経て、2017年4月から東京大学社会科学研究所准教授。単著に『現代中国の産業集積―「世界の工場」とボトムアップ型経済発展』(名古屋大学出版会、2015年、大平正芳記念賞、清成忠男賞受賞)、共編著に『現代アジア経済論―「アジアの世紀」を学ぶ』(有斐閣、2018年)など。

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