南アジアでフリーランスがじわり増えている訳 エンジニアや主婦も英語や技能を駆使し活動

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デジタル化を背景に、南アジアのフリーランスが着実に増えているようです(写真:Big Bang Babe /PIXTA)
デジタル技術の進化は、新興国・途上国の姿を劇的に変えつつあります。そんな中、インド、バングラデシュといった南アジアの国と地域では、プラットフォームを活用した、特定の企業に所属しない、フリーランス経済が広がっているようです。東京大学社会科学研究所准教授の伊藤亜聖氏の新著『デジタル化する新興国――先進国を超えるか、監視社会の到来か』を一部抜粋・再構成し、背景事情を紐解きます。

プラットフォームが介在することで、個人レベルで海外に仕事を発注できるようにもなってきた。こうしたプラットフォームの1つに、オーストラリア発の「フリーランサードットコム」がある。例えばデータ入力、ホームページの作成、翻訳、校正、そしてソフトウェア開発までが取り扱われている。

フリーランサードットコムの画面(2019年7月、筆者撮影のものを一部加工)(本書引用)

具体的な流れを紹介しよう。まず英語で、委託したい業務の概要と予算、そして作業完了日を提示して投稿する。

1つのプロジェクトに対して複数のフリーランサーから受託の提案(オファー)がくる。筆者が2019年に投稿したデータ入力作業のときには、約1時間で30人以上から受託提案があった。

候補者のリストは、プラットフォーム側が提示価格と過去の評価を総合したうえで、順位づけされた形で表示される。

そして候補者とは即座にチャットでやりとりが可能となり、実際の作業について詳細を提示し、過去に類似プロジェクトを経験したことがあるかを確認できる。

グーグルのサービスが常識的なインフラに

日本にも類似のサービスはあるが、「フリーランサードットコム」には世界中のフリーランサーが登録している。筆者のプロジェクトには、とくにバングラデシュやインドなどの南アジアのフリーランサーが多く応募してくれた。何人かとチャットをするなかで、気が付いたことがあった。

それはグーグルが提供するオンラインのクラウド文書作成サービスである「グーグル・ドキュメント」や「グーグル・スプレッドシート」が彼らにとっては常識的なインフラとなっていることである。

グーグル・ドキュメントは、オンライン上で文書を作成でき、複数のユーザーが1つのファイルを閲覧したり修正したりできるものだ。グーグル・スプレッドシートは、その表計算版である。わかりやすくいえば、マイクロソフトのワードとエクセルが、オンライン上にあり、同時に複数のユーザーが手を入れられる、といった具合だ。

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