忙しすぎる人が知らない「何もしない」の作法 携帯の電源を切ったり無視するだけでは不十分
ただし、今の段階で、つねに何かしている癖やそうしたくなる気持ちについて気づいておくのはいいことです。何かをしたくならなかったという人は、もう一度、今度はあと 1、2分長くエクササイズをしてみるといいでしょう。
テレビを見たり、音楽を聴いたり、酒を飲んだり、買い物したり、友だちと出かけるのが悪いと言っているのではありません。むしろ大いに楽しむべきです。ただ、これらは一定量の一時的な幸福をもたらすものであって、持続的なからっぽの状態をもたらすものではないと知っておくのはいいことです。
忘れていても心の奥底には存在している
あなたは1日の仕事を終え、頭の中が忙しすぎて疲労困憊して帰ってきたことがないでしょうか。そこで、頭を切り替えるためにテレビでも見ることにしました。真剣にのめり込めるほど面白い番組だったら、頭を埋め尽くしていた考えから、つかの間解放されたように感じられたかもしれません。
でも大して面白くなかったり、頻繁にコマーシャルが入ったりしたら、そのすきをとらえてそれらの考えがしばしば頭に浮かんでくるでしょう。いずれにしても、番組が終わった途端に、さっきまでの思考や感情が一気によみがえってくることはよくあることです。同じ強さではないにせよ、それらは心の奥のほうにずっと存在していた可能性が高いからです。
そしてほとんどの人はまさにこんなふうに、次から次にいろいろなことに気をとられながら日々を過ごしています。職場では忙しすぎたり、別のことに気をとられたりして、自分の気持ちを意識する暇がありません。そして家に帰ったとき、突如として多くの考えが押し寄せてくるのです。
あるいは、帰宅後もなんやかやと気をそらせることができたとすれば、ベッドに入るまで、それらの考えにすら気づかないかもしれません。けれども頭を枕につけた途端、心が突然、猛スピードで暴走し始めるのです。
もちろん、その考えはずっとそこにあって、ただ気をそらすものがなくなったから、その存在に気づいたというだけのことです。あるいは逆のパターンもあるかもしれません。人づきあいや家庭生活に忙しくて、職場に着いてはじめて、自分がどれだけ疲れていたか、頭の中をどんな考えが駆け巡っていたかに気づく人もいます。
これらのことに気をとられていたら、注意力が散漫になり、とても最高の力を発揮することはできません。言うまでもないことですが、心が次から次に浮かぶ考えをあたふたと追いかけているような状態では、集中力が著しく削がれることになります。
今度も2分間の短いエクササイズをしてみましょう。前と同じように、今いる場所に座ったままでかまいません。本を膝においたら、五感の1つに軽く意識を集中させます。
今の段階では音か視覚がいいでしょう。目を閉じて背景の音に集中するのがおすすめですが、ときどき予測不能な音がすることもあるので、目を開けて部屋の中の特定のもの、あるいは壁の1点をじっと見つめてもいいでしょう。音と視覚のどちらを選んでも、それにできるだけ長い間集中してみましょう。
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