忙しすぎる人が知らない「何もしない」の作法 携帯の電源を切ったり無視するだけでは不十分

拡大
縮小

マインドフルネスとは、その生活の体験を変える方法を学ぶことです。心の底に充実感をもちつつ、あるがままに生きるための道を見つけることなのです。そこで何かを変えたいと感じたなら、もちろんそうすればいいのです。違うのは、なんであれ、そうやって変えたことは長続きするということです。

頭をからっぽにしたほうがいい理由

忙しい生活を送り、たくさんの責任や選択を抱える私たちの心と体は、つねに働きすぎの状態にあります。人々が私の働いているクリニックに来る理由はさまざまですが、最も多いのはストレス性の症状です。

自発的にやってくる人もいれば、家族やパートナーや友人に言われて来る人もいます。あまりに症状がひどいので医師にすすめられて来たという人もいます。けれども大部分は、もう少し楽に生きる方法を見つけたいと思っているごく普通の人々です。

『頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

仕事でプレッシャーにさらされていたり、家庭生活に悩んでいたり、強迫観念に苦しんでいたり、自分や他人を傷つけるような行動を繰り返してしまう人々。その多くは、ただ毎日の生活でもう少しだけ頭をからっぽにできたらと望んでいるのです。 

ストレスは私たちをおかしくさせます。言わなければよかったと思うようなことを言わせ、しなければよかったと思うようなことをさせます。自分自身に対する感じ方や、他人との関わり方に影響を与えます。

もちろん、ある種のストレスや困難があるからこそ、充実感を味わえたり、目標を達成できることもあります。でもそれが別の種類の(あまり役に立たない)ストレスにまで波及することも極めて多く、そうなると私たちは途方にくれてしまいます。

そのようなときこそ、心をトレーニングし、人生で何が起ころうと、いつでも心の奥底にある充実感や幸福感に触れられるようにすることが大きくものを言います。それこそが「からっぽ」をつくるということなのです。

アンディ・プディコム 臨床瞑想コンサルタント

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Andy Puddicombe

イギリス保険医療委員会公認の臨床瞑想コンサルタント。元仏僧。大学在学時に僧を志しアジアに旅立つ。世界各地の寺院や僧院で修業を積んだのち、チベットの僧院で正式な仏僧となるが、2004年にイギリスに帰国。その後、瞑想普及のための団体〈ヘッドスペース〉を創設。「瞑想を誰にとっても身近なものにし、なるべく多くの人に瞑想にしたしんでもらいたい」との理念を持ち活動に励んでいる。本書はビル・ゲイツが2018年に続き、2020年のお勧め本の1冊として推薦、世界各国で刊行されベスト&ロングセラーとなっている。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT