レヴォーグ1強に見た和製ワゴンの残念な衰退

盤石の人気を誇るが電動化の後れは気になる

スバルは、レガシィが登場する以前、レオーネ時代の1972年に商用のエステートバンに初の4輪駆動車を追加した。ここからスバルと4輪駆動の歴史が始まる。アメリカジープに代表されるような悪路走破の車種ではなく、商用車とはいえ乗用として世界初の4輪駆動車となった。そして1975年には、乗用車での4輪駆動車が加わる。

さらに2代目レオーネに替わった1981年に、ツーリングワゴンと名付けた4輪駆動のステーションワゴンが登場した。ツーリングワゴンでは、屋根を途中で一段盛り上げ、商用バンと差別化した独特なスタイルも話題になった。ここからリゾートエクスプレス(郊外への高速移動)の価値を明確に打ち出し、スバルのツーリングワゴンという、実用性を兼ねながら高速走行も満たす価値が人々を魅了していった。

スバル=ステーションワゴンと印象付けたレオーネツーリングワゴン1.8GTターボ(写真:SUBARU)

スバルが語るツーリングワゴンの価値とは、「より遠くまで、より早く、より快適に、より安全に」というグランド・ツーリング思想にある。

ツーリングワゴンは、レオーネの後のレガシィ、そしてレヴォーグに至るまで40年近い歴史を積み上げ、グランド・ツーリング思想は世代を超えて受け継がれている。スバルの高性能車の象徴であるSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)仕様とともに、スバリストと呼ばれる熱心なスバルファンの支持を得ているのである。

他社にはない価値が築いた1強体制

ツーリングワゴンがここまで高い支持を得た背景には、4輪駆動だけでなく、リゾートエクスプレスといわれるように高速走行を実現するターボエンジンとの組み合わせが、安全に速く走ることへの後ろ盾となったことはいうまでもない。この取り合わせは、新型レヴォーグにも継承され、ボンネットフードに開くエアダクトは、ターボエンジン搭載の象徴である。

それに対し、他社のステーションワゴンは、実用性という価値以上に何か魅力を与えたり、訴求したりしてこなかったといえる。それによってミニバンやSUVに主役の座を奪われたともいえる。ステーションワゴンを選ぶ意味を打ち出せなかったのだ。

しかし、将来的な高齢化社会を見据えると、大勢で乗れて荷物も運べる実用性でもミニバン・SUVとステーションワゴンでは価値が変わってくるのではないだろうか? 乗降が楽であったり、荷物の出し入れが楽であったりするステーションワゴンが、再び脚光を浴びる可能性はあると思う。ミニバンやSUVは、座席位置が高くなるし、SUVの荷室は床が高いから重い荷物は持ち上げにくい。

広く、荷物の積み下ろしの姿勢が楽なステーションワゴンは高齢化社会に貢献する!?(写真:SUBARU)
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