「夫の連れ子」との関係に悩む37歳女性の葛藤 あるステップファミリーが模索する幸せの形
そんな状況の中、娘たちの表情がだんだんと暗くなっていくのがわかったと言います。
長女は元々底抜けに明るい性格でしたが、家庭内に不穏な空気が漂うようになってから、徐々にヒステリックになったり、引っ込み思案になっていきました。
次女は、学校ではわざとらしく大きな声で笑ってみたり、いたずらめいたことをして目立とうとして友達とトラブルになったりと、恵子さんが学校へ呼び出されるのも度々。恵子さんはそんな娘たちを見て、「子どもなりに自分の居場所をつくろうとしているんだ」と感じていたそうです。
お母さんが他界して恵子さんが家に来るまで、娘たちは同じマンションに住む祖父母のところでほとんどの時間を過ごしていました。夫は仕事で外に出ていることがほとんどで、娘たちとコミュニケーション不足だったようですから、父親が毎日不穏で家庭内の雰囲気が悪くなるというのは娘たちにとってもとても大きなストレスだったのは容易に想像できます。
夫はすべて丸投げ、娘たちとは心の溝ができて…
結婚してからというもの、PTA役員、部活の後援会、塾や進路のことはすべて恵子さんが中心に行っています。学費や塾のお金も恵子さんが早朝から夜まで仕事を掛け持ちしながら一生懸命工面しています。
学校行事に関しては、「娘たちと一緒に思い出を作ろう!」という気持ちで自分から率先して行っており、これも恵子さんにとってとても大きな出来事でした。
しかし、突然娘が金髪にしてきて学校に呼び出されたり、クラスの中で友達とトラブルを起こしたり、成績が落ちて面談で指摘されたりとトラブルがあるたびに、恵子さんは決まって娘2人と3人できちんと話し合いをするようにしていますが、それがきっかけで恵子さんと娘たちの関係に溝ができてしまうことがあると言います。
本当は夫にもきちんと話し合いに入ってほしいのに、夫は短絡的な性格で、そもそも話し合いに入ってこようとせず、それどころか、「子どもに冷たくするな」と叱られる始末。
本心では「あんたの子どもでしょ!」と言いたくなるけれど、もちろん口には出せないので毎回ぐっとこらえることの繰り返し。夫は娘たちの進学や将来のことをまったく話さず、すべて恵子さんに任せっきり。そうするとやはり自分が娘たちと向き合わなければならないし、叱らなければならないという繰り返しです。
娘たちと心の溝ができるたびに、「私は結局お腹を痛めてこの子たちを生んでないからわからないんだろうか。でもやっぱり、どうでもいいといって捨てきれない」と心の葛藤があると言います。
「ただただ一生懸命に生きているだけなのに、どうしてうまくいかなくなるのでしょうね。ダメな自分を肯定するしかないんでしょうね」
ぽつんとつぶやいた恵子さんの一言がとても印象的でした。
「私のようなステップファミリーの場合、夫のフォローがどうあるかで家族関係が大きく変わると思うんです」
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