挨拶代わりの「ハグやキス」に外国人が引く理由 日本人が知らない「正しいビジネスマナー」

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いずれにしても、ビジネスでは丁寧さが大切。つねに相手への敬意や気遣いを忘れず、相手が心地よくなるようなコミュニケーションを心がけましょう。

何も言わないと大きなトラブルに

外国の文化について一例を挙げると、「仕事をあまり忙しくせずに一息つく時期」というのは各国で大きな違いがあります。

アメリカでは、サンクスギビング・デー(感謝祭、11月第4木曜日)からクリスマス、年末までが日本で言うところの「正月休み」のような期間に当たります。この間に手間暇のかかる仕事を何気なく振ったりすれば、相手を怒らせることになりかねません。

一方、日本人以外の多くのアジア人にとっては、1~2月頃の「旧正月」が日本の正月休みにあたります。旧正月からの2週間は、忙しくさせることはタブーです。

またオーストラリアでは1月26日がオーストラリア・デー(オーストラリア建国記念日)となっており、クリスマスから年末年始を挟んでオーストラリア・デーまでが「忙しくさせてはいけない期間」となります。

日本人にとって師走は仕事の繁忙期であり、年末年始にのんびり「正月休み」を取るのが一般的です。これを知らないアメリカ人が、日本人が正月に休んでいることについて「ホリデー明けなのにまだダラダラしているのか」と言っているのを耳にしたことがあります。お互いの文化を知らないと、不要な摩擦が起きることもありますから、注意が必要です。

また、日本では宗教について考える機会が少ないように思いますが、海外では宗教が生活の中に根付いており、時には戦争や殺人事件のきっかけになるほどの重みがあります。まずは、グローバル社会では「宗教への配慮を欠く発言はご法度」ということを頭にたたき込んでおきましょう。ビジネスシーンでも、宗教に関するイベントには特別対応で臨んでください。

同僚や取引先の方などの宗教上の決まりごとについては、それを当然に許容し尊重する姿勢が大事です。例えば、シンガポールではムスリム(イスラム教徒)も多く、ラマダン(断食月)の期間は日中に水さえ飲まない人もいます。ラマダン中は、仕事をあまりハードにせず、早めに帰らせてあげる配慮があったほうがいいでしょう。

また、海外ではチームのイベントで一緒に食事へ出かけたり、会社のイベントで職場にブッフェをオーダーしたりすることがあります。このような場面でも、宗教への配慮が必要になってきます。

ムスリムはイスラム法で許された「ハラル料理」しか食べられません。一方、ユダヤ人は豚とウロコがない魚類を口にせず、牛肉と鶏肉も牛乳と一緒には食べられません。ルールが細かいので、外食時はベジタリアン向けの料理を選ぶほうが多いようです。

このほか、インド人は何でも食べる人もいれば「牛がダメ」「牛と豚がダメ」「肉がダメ」「魚の出汁もダメな完全ベジタリアン」など、いろいろなパターンの人が混在しています。外食時やブッフェのオーダー時には、その場にいる全員の事情を考慮するようにしましょう。

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