東大に受かる子がやっている「数学」勉強のコツ 東大受験専門塾「鉄緑会」講師が教える

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数学ができる人ほど、具体的な状況で調べてみたり、答えが出ても特殊な場合で検算したり、別の方法でチェックしたりといったことをいといません。一方、数学が苦手な人ほど、答えを急ぐ余り、よくわからずに一般論を振りかざして的を外した答案を書き、少し違う視点から見れば明らかに間違いだとわかる答えを書いて平然としています。

自分の頭で考える時間を長く取ってこなかった人は、その分模範解答とにらめっこする時間が長かったのだと思いますが、模範解答は基本的に、このような実験や試行錯誤を経たうえで答案用に体裁を整えた“よそ行き”のものです。

模範解答の作成者も、そこに書いてあるとおりに考えたのではありません。そのことを知らずに模範解答を一生懸命理解しようとするだけでは、数学はできるようにはなりません。その裏にある、(時にもっと泥臭い)解法のアイデアにたどり着くまでの考え方を探る努力をしなければなりません。

人に教えることをイメージする

そう言われても実際にどうすればいいのかわからない、という人もいるでしょう。そのときに最も大事なことが、

「人に教えることをイメージして勉強する」

ことです。問題を解き終わり、理解したと思っても、そこで終わらず、その問題を一から人に説明できるかを試してみてください。その際の相手としては、自分よりも少し下のレベルの人をイメージしてください。自分よりも数学が少し苦手な“架空の後輩”などを頭の中に住まわせておいて、その後輩に向かって説明するイメージです。

こんな話があります。戦後すぐくらいの時代に東大合格者について調べたところ、圧倒的に(下の兄弟がいる)長男・長女が多かったそうです。一人っ子よりも割合として高かったことから、「家のリソースが集中するから」という説は否定され、結局「長男・長女は下の子に教える過程で学力が上がるのだろう」という結論に至ったそうです。

すべての問題についてこれを行うのが時間的に厳しい場合であっても、少なくとも自分が解けなかった問題や理解が完全でないという感覚がある問題については行うべきです。そしてここは絶対にごまかしてはいけません。理解があやふやであること自体は構いません。

また戻ってきてトライすればいいのです。しかし、自分の理解度に関しては、真摯に、実直であってください。「今後いつ出題されても絶対に解ける」と思えるようになってはじめてその問題を完全にわかった、と言っていいのです。

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